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まだヒノキ花粉症が続いていますが、今回はスギ花粉の舌下免疫療法のお話です。
舌下免疫療法の詳しい話は⇒コチラ
リンク先で書いていますが、スギ花粉の舌下免疫療法に使用するお薬は『シダトレン』と『シダキュア』の2種類があり、これまでは『シダトレン』が中心でした。
この『シダトレン』は液体のお薬で特に最初の方は『1回何滴』という風に微妙な調整が必要だったり、冷所に保管が必要だったり、なかなか面倒(^-^;
しかしもう一つの舌下免疫療法のお薬『シダキュア』は錠剤になりますので、冷所保管の必要もなく旅行などにも持っていきやすくなります。
さらに『シダトレン』は12歳以上しか処方できませんが、『シダキュア』は年齢制限がなく5歳以上であれば問題なく行えるとされています。
(5歳以下で花粉症で困っているお子さんも少ないでしょうが)
また、『シダキュア』の方が1回当たりの用量が多く効果も良いのでは?というデータもあります。
というわけで、良いこと尽くめのような『シダキュア』ですが、昨年発売され、当院ではまだ使用しておりません。
その理由は、「新しいお薬は2週間までしか処方できない」という決まりがあるため。
しかし!
来月からこの処方制限がなくなります(^^♪
その一方、『シダトレン』は今後製造中止になっていくそうです(・_・;)
というわけで、これから舌下免疫療法を希望される方は基本的に『シダキュア』を使用していくことになります。
これまで『シダトレン』を使用していて、今後も継続が必要な方は『シダキュア』に変更も可能です。
しかしなぜ『シダトレン』を製造中止にしなくてはならないのか...
メーカーの方に聞いてみたところ、『シダトレン』も『シダキュア』もスギの花粉を原料に作られているので、両方作るには原料が不足するということでした。
『安心の国産スギ花粉を使ってますから(; ・`д・´)!!』
だそうです(^-^;
Posted:2019.04.01 | Category: 雑談
新年度が始まりました。
本日は新元号も発表される予定で、皆さん新しい気持ちで新年度を迎えられたでしょうか。
新しい出会いの季節でもありますが、昨日は大先輩の先生が大学病院を退職されるということで送別の集まりに参加。
ずっと熊本大学病院で活躍されていた先生で私ももちろん大変お世話になりました。
手術が本当に上手な先生で、様々な手術を教えていただきました。
素早く進める箇所は本当に早く、危険な箇所はじっくり正確に。
見ているだけで豊富な経験と知識を感じる手術でした。
こどもの難聴や補聴器、嚥下障害の診断・治療についてもずっと活躍されており、今後も場所は変わりますがご活躍されるでしょう。
昨日の会でも大勢の関係者が集まり、楽しい時間を過ごしました。
やはり送別会って送られるかたの人柄がでますね(*^^*)
帰り道に撮影した桜
昨夜は気温も下がり、ほろ酔いながら気持ちよく歩いて帰りました(*^^*)
と、いろいろ書いていると新元号の発表がありました。
「令和(れいわ)」
だそうです。
正直まだしっくりきませんが...きっと徐々に浸透していくのでしょう。
しかし、「れいわ」って「れ」にアクセントがつく発音なのか、「しょうわ」と同じような発音なのか、どっちだろ?
なんかテレビ観ててもまだ統一されてない感じ(^-^;
一昨日3月26日、熊本で桜の開花宣言がだされました。
(この写真は去年のですが...(^-^;)
耳鼻科医がよく使う言葉
『桜が開花するとヒノキの花粉症の時期』
というわけで...
花粉飛散予報も『ヒノキ中心』となっています。
しかも明日からずっと『非常に多い』予報((+_+))
スギ花粉症の方の多くはヒノキ花粉症もあると言われています。
スギヒノキ両方なら、2月中旬から5月初旬まで花粉症に悩まされるわけです。
その時期が過ぎるとスギ花粉の舌下免疫療法が開始できる時期になります。
今年の花粉はかなり苦しんだ方も多く、免疫療法に興味が出た方も多いかもしれません。
詳しくはコチラ
⇒『舌下免疫療法のページ』
このページ内に書いてますが、「シダキュア」というお薬が今年の5月から1か月処方可能になります。
これまでスギ花粉の舌下免疫療法では「シダトレン」という液体のお薬がメインでしたが、「シダキュア」は錠剤タイプになりますので、旅行などでも持ち運びやすかったり便利かと思います。
今年花粉症がひどくて大変だった方は検討ください。
カビのお話第3弾というわけで、のどのカビの話です。
のどのカビは基本的に「カンジダ」というカビが原因になります。
このカンジダ、実は誰ののどにもいます(常在菌というやつです)。
しかし、やはり免疫不全や糖尿病、抗生剤・ステロイドなどの使用によってカンジダが増殖してしまい発症します。
特にお口の中の「口腔カンジダ症」のことを「鵞口瘡(がこうそう)」と呼んだりもします。
乳幼児に発症することもあり、これは哺乳瓶などが清潔でないと発症するとも言われます。
軽ければしっかり清潔にしてあげるだけで治癒することも多いですし、症状もあまりなかったりします。
これはカメラでのどの上の方から見ている画像なので、わかりにくいかもしれませんが...(^-^;
こんな感じで白いものがのどに点々とつくことが多いです。
この画像では咽頭から喉頭(のどの奥)までカンジダを認めます。
進行するとこの白いものが取れにくくなったり、出血しやすくなったりもします。
ヒリヒリとした痛みがあったり、違和感だったり、味覚がおかしい、などなど色んな症状があります。
治療は抗真菌薬を使用することが多いです。
アムホテリシンB(ファンギゾンシロップ)、ミコナゾール(フロリードゲル)などの液体状のお薬を口の中に入れて、行きわたらせてから飲み込むような感じです。
もちろん、口の中を清潔に保つことも重要ですし、特に義歯(入れ歯)にカンジダが繁殖することもありしっかり清潔にしましょう。
不必要なステロイドや抗生剤を使用している場合はそれらを中止することも大事。
「のどが痛い」というだけで抗生剤を使用してはダメ((+_+))
さてさて、耳、鼻、のどとカビのお話をしてきました。
重要なのは耳、鼻で原因となるアスペルギルスや、のどで原因となるカンジダは『どこにでもいる』ということ。
アスペルギルスは空気中、ホコリの中にもいるし、カンジダは体中にもともといます。
しかし、体の方に免疫の異常を起こすと急に牙をむくわけですね。
そしてその原因は人間側が作ってしまっていることも多いのです。
耳掃除のし過ぎ、薬の使い過ぎ、口の清潔が保たれていないなど...
皆さん、気をつけましょう(^^)/
カビの話、第2弾!
鼻のカビについてです。
鼻のカビと言えば、『副鼻腔真菌症』。
通常の『副鼻腔炎』は細菌が副鼻腔の中で増えてしまう病気ですが、『副鼻腔真菌症』ではもちろんカビが増えます。
前回耳の話でも書いたアスペルギルスやカンジダ、さらにムコールというカビが原因になります。
当院のHPの中でも少し書いてます。
⇒鼻の悩み『副鼻腔炎』
副鼻腔真菌症はいくつかに分類されます。
大きく分けると『浸潤性』と『非浸潤性』、さらに『アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎』に分けられます。
さらに『浸潤性』の中で『急性浸潤性』と『慢性浸潤性』と分けられるので、計4つに分けられることになります。
ややこしいですね(^-^;
それぞれを簡単に説明します。
・急性浸潤性副鼻腔真菌症
この病気は非常に怖い病気です。
『浸潤性』というのは、副鼻腔から周りにどんどん進行していくということです。
副鼻腔の周りには骨があるので、まず骨を壊し、さらにその外の眼球や脳、血管まで影響を及ぼし、失明や脳梗塞などを起こし命に関わることも多い病気です。
糖尿病の方や、ステロイド・免疫抑制剤を長期的に内服しているなど、免疫不全状態の方に多いとされます。
・慢性浸潤性副鼻腔真菌症
上と同様に副鼻腔から周囲に進行しますが、進行は比較的ゆっくりです。
しかし、やはり周囲の臓器に進行していくので、早期の治療が必要です。
急性と比べると免疫との関連は薄く、糖尿病などの疾患がない方、免疫正常の方が多いとされます。
・慢性非浸潤性副鼻腔真菌症
『非浸潤性』ということは真菌が副鼻腔の中に留まるということで、『浸潤性』のものと比べると症状も軽いです。
ゆっくりと進行するので、全然症状ないのに『頭のCTを撮影したら偶然見つかった』ということもよくあります。
鼻の中を診察しても全然異常がないこともよくあります。
・アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎
カビに対するアレルギー反応によって症状が起こるものです。
アレルギー性鼻炎や喘息など、もともとアレルギー疾患を持っている方に多く、ポリープを伴うことも多いです。
以上の4つに分類されます。
症状もそれぞれですが、代表的には鼻水、鼻づまり、頭痛、鼻水に血が混じる、嫌なにおいがするなどです。
診断方法について、症状や鼻の診察では普通の副鼻腔炎と区別がつきにくいことも多くあります。
レントゲンを撮影してもはっきりと『真菌症』と診断は難しいです。
特徴として普通の副鼻腔炎は左右両方に起こしていることが多いのに対して、真菌症では片方だけのことが多いので、『片方の副鼻腔炎を治療しても改善しないのでCT検査まで行ったら、真菌症の診断になった』ということもあります。
CT検査は非常に有効です。
矢印で示した右の上顎洞という頬の内側の副鼻腔に真菌症を認めます。
特徴としては『石灰化』と『骨の肥厚』です。
CTでは骨が白く映ります。画面の中で向かって左側が灰色の中に一部白い部分が混じっています。この白い部分が『石灰化』と呼ばれるもので、イメージとしてはカビが固まって硬くなっているような感じ。
さらにその周りの骨が右側と比べて分厚くなっているのもわかりやすいかと思います。これも真菌症で特徴的です。
治療については基本的に手術。
特に浸潤性のものは手術で徹底的にカビを除去して、さらに抗真菌薬を全身投与します。
非浸潤性の場合はカビが粘膜以下に進行していないので、手術の後は抗真菌薬の全身投与は不要とされてます。
アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎は手術後にポリープなどが再発することも多く、ステロイドの投与も有効とされます。
ま~た長くなっちゃいました(^-^;
副鼻腔真菌症は手術での治療がメインになってしまうので、患者さんの負担も大きい病気です。しかも症状がなくても手術になったりしますので...
例えば、関係のない病気で頭部のCTを撮影した時
医『CT検査の結果ですが、脳には異常ありませんでした。』
患「ほっ(^^)」
医『しかし...』
患「(・_・;)?」
医『鼻の中にカビがいるかもしれません』
患「カビ!?」
医『手術をお勧めします』
患「手術!?」
なにも症状ないのにビックリ連発ということになりますので、医療者側もキッチリ丁寧に説明しなくちゃいけません(@_@)
次回はのどのカビについても書く予定です。
まだまだ花粉症の時期ですが、違うお話を。
題名通り『カビ』の話です。
あの食べ物に生えてくる『カビ』です。
かびるんるんの『カビ』です。アンパンマンの力が出なくなっちゃうやつです((+_+))
耳鼻咽喉科ではカビと関わることが多いのです。
『耳』『鼻』『のど』全部カビが出てくることがあります。
医学的には『真菌症』と言います。
特に多い病気についてそれぞれ説明していきましょう。
・『耳のカビ』
最も多いのは耳の中にカビが生える『外耳道真菌症』です。
特に耳掃除のし過ぎで耳の穴を傷つけ、そこにカビがついてしまうことが多いです。
また、抗生剤やステロイドを使用した後や、耳の手術後、糖尿病などがあるとカビはつきやすくなります。
症状としては痒みが強いことが多く、耳の痛みや耳だれが出ることもあります。
耳の中を見ると、こんな感じで白いポワポワしたものや、黒いカビを発見できます。
耳だれが多いとこんな感じに見えないこともあり、菌の検査で検出されてわかることもあります。
原因となる真菌で多いのはアスペルギルスやカンジダと呼ばれる真菌です。
治療で最も大事なことは耳の中のカビをしっかり掃除することです。
ただし、これは自分でしないでくださいm(__)m
耳鼻科医が顕微鏡を見ながらしっかり掃除することが重要です。しっかり掃除した後に抗真菌薬を耳に入れたり、塗るのが一般的です。
抗真菌薬というのはもちろんカビを退治するお薬です。
細菌に対する抗生剤みたいなものですね。
抗真菌薬にも飲み薬があるのですが、外耳道真菌症に使うことはあまりありません。
耳の真菌症の多くは耳の穴の皮膚だけに留まります。
鼓膜に穴をあけて、耳の奥まで侵入していくようなことはほとんどありません。
皮膚よりも深いところまで真菌が入り込んでいくことも稀なので、塗り薬で十分なことがほとんどなのです。
というわけで、やっぱり耳掃除のし過ぎには注意が必要です。
耳⇒鼻⇒のど という感じでカビの話を続けていきます(^^)/
Posted:2019.03.07 | Category: お薬の話
前回ブログのアクセス数について書きました。
誰にでも読めるブログですので、もちろん言葉の間違いや日本語の使い方には気を付けてるつもりです。
(たまに間違ってるかもしれませんが(^-^;)
その中でひとつ。
私はこのブログで『抗生剤(抗生物質)』という言葉を使っています。
『抗菌薬』という言葉もありますが、どれが正しいのでしょう?
Wikipediaさんによると
『抗生剤(抗生物質)』とは『微生物が産生し、他の微生物の発育を阻害する物質』
『抗菌薬』とは『細菌の増殖を抑制したり、殺したりする働きのある化学療法剤』
う~ん、わかりやすいようなわかりにくいような(^-^;
もっと簡単に言うと
『抗菌薬』は『細菌を増殖を抑えたり、殺したりするお薬』
『抗生剤(抗生物質)』は『その中で微生物から作られたお薬』
です。
世界初の抗生物質である『ペニシリン』はフレミングが青カビから発見したことは有名です。
なので、『ペニシリン』は『抗菌薬』であり、『抗生剤(抗生物質)』でもあります。
微生物以外から作られる、化学的に合成されるお薬として有名なのが『ニューキノロン』です。
レボフロキサシン(クラビット)、ガレノキサシン(ジェニナック)、トスフロキサシン(オゼックス)などが使われる頻度も高いかと思います。
これらは『抗菌薬』ですが、『抗生剤(抗生物質)』ではないということになります。
わかりやすく書けているか微妙( ;∀;)
このブログではこれらのお薬は全て『抗生剤』で統一しちゃっています。
なので、厳密には間違った言葉になってます。
普段、診察中に説明するときも『抗生剤』『抗生物質』『抗菌薬』という風に使い分けてはいません。
なぜ?
当然、『抗生剤』が一番伝わりやすいからです。
それ以外の理由はありません(^^)
医学的には正しくなくても、患者さんにしっかり伝わることの方が大事だと思います。
医師が使う言葉で患者さんに伝わりにくいものって結構多いと思いますし、なるべく誰にでも伝わるように言葉を選ぶことって重要ですよね。
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