たかむら耳鼻咽喉科

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Posted:2017.02.08 | Category: お薬の話 医療系のお話 学会

1月21日、2月4日と土曜の夕方から勉強会。

話題の中心は季節柄かどちらもアレルギー性鼻炎です。


当院でも行っている『舌下免疫療法』がやはり効果的というお話や、耳鼻科がかかわる難治性疾患として『好酸球性中耳炎』『好酸球性副鼻腔炎』そして最近よく話題になる『ANCA関連血管炎性中耳炎』などの講演もありました。


こういう場所は特になかなか学会などに参加できない開業医にとって新しい知識を吸収するために必要な場所ですが、毎回参加者も少ないし決まって同じメンバー。2月4日なんて10人ちょっとしかいなかったような...( 一一)


まぁ愚痴はおいといて。
昨年、新しいアレルギーのお薬が相次いで発売になりました。


『デザレックス』と『ビラノア』というお薬です。
どちらのお薬にも共通するのが『眠くならない』ということ。


通常、アレルギーに一番使用する『抗ヒスタミン薬』というものは副作用として眠気が強いことが知られています。これは簡単に言うと、お薬の成分が脳にも作用してしまうためです。

特に第一世代と呼ばれる古いお薬(ポララミン、レスタミン、アタラックスなど)は眠気が結構強いので、最近はそこまで使われることはありません。

第二世代の抗ヒスタミン薬(アレロック、ザイザル、タリオンなどなど)は眠気が少ないです。とは言ってもゼロではなく、人によっては眠気がくることもあり、添付文書には『車の運転に注意』という記載があります。


『車の運転に注意 』の記載がない薬としては『アレグラ(フェキソフェナジン)』がこれまでもありましたが、これで『ビラノア』『デザレックス』と選択肢が増えました。


『デザレックス』のメリットは眠くならないことと、いつ飲んでも大丈夫ということ。

『ビラノア』は食事の影響を受けるので、空腹時に飲む必要がありますが、即効性がありアレルギーを抑える力も強いようです。

まだ発売したばかりのお薬ですので、2週間分までしか処方できませんが。眠気があると困る運転することが多い職業の方などに良いのではないでしょうか。


すでに自分でも内服してみましたが、確かに眠くはなりませんでした。アレルギーの症状もちゃんと抑えられます。
(こういう時は自分がアレルギー性鼻炎だと便利(^-^;)


アレルギーのお薬はたくさんありますが、『鼻づまりが強い』『鼻水が多い』などの症状によって選びます。
そして点鼻薬を併用することも非常に有効です。


ちなみに、ドラッグストアでもアレルギーのお薬は売ってます。

正直、特に点鼻薬はおすすめしませんが、、、


その理由はまた今度(^^)/

Posted:2017.02.03 | Category: 雑談

前回熊本のスギ花粉は2月10日から飛散予定と書きましたが、すでに症状が出ている方が増えてまいりました。
インフルエンザも猛威を振るっていますが、『鼻水』『鼻づまり』『目のかゆみ』にもご注意ください。


さて、前回の車マウスに続き...


DSC_1302.JPG

ででん!!

キーボードです!
前に使っていたのが、あまりにも事務用品的で気に入らなかったもので...

なぜかタイプライター風キーボードを選んでしまいました。

こういう一風変わったものに弱い男なんです(^-^;



すでに
『ギラギラしてますね』(^-^;
『変わってますね』(*_*;
『使いにくそう』(:_;)

などなどありがたいツッコミをいただきました。
(確かにちょっと慣れが必要です)

DSC_1301.JPG

車マウスと2ショット

なかなかイカしてません?


車はお子さんに大人気で、すでに何度も持っていかれそうになりました(^-^;

Posted:2017.02.01 | Category: お薬の話 医療系のお話

インフルエンザどんどん流行っています!

ほとんどがA型ですが、B型の方もちょこっと。


そして両方のAB型もいらっしゃいました(*_*;


その中で気になることが。
昨日とある患者さんが、、、
『子供が〇〇耳鼻科でインフルエンザと言われたんですけど、まだ小さい(たしか1歳)からタミフルは出せないと言われて違う薬をだされたんですが、、、』


処方箋には思いっきり『抗生剤』



え~(・_・;)


厚生労働省は2016年11月24日、タミフル(オセルタミビルリン酸塩)のドライシロップ製剤について、新生児と乳児への用法用量を追加し保険適用の対象としました。


つまり0歳児でも保険適応で処方できます。
そして保険適応になる前からも状況によっては使用されてきました。
もちろんインフルエンザは重篤でなければ自分の免疫で治ってしまうもので、実際抗インフルエンザ薬はほぼ使わないという医師もいます。



...しかしなぜ抗生剤を出す

インフルエンザにはもちろん効果ないし副作用と耐性菌しか生み出さんわ!



...いや、処方箋料も生み出すな( 一一)


という感じでなんだか悲しい気持ちになってしまいました。

Posted:2017.01.30 | Category: 雑談

なんだか昨日今日と暖かいですね!

暖かくなってくると心配なのが花粉症。熊本は2月10日頃からスギ花粉の飛散が予想されています。
しかし、すでに症状が出てきている方もおられますので、早めにお薬は持っておきましょう!
今年は去年よりも大量の花粉が飛ぶようです。

さてさて、本日から私の診察机にはこんなものが、、、

DSC_1297.JPG

これ、電子カルテの操作に使うマウスです。

いままで使っていたのは有線で使いにくかったもので、、、

決して遊び道具ではないですよ(^-^;

DSC_1296.JPG


いや~、カッコいいな~

仕事中の私の癒しですので、どうぞお許しください(+_+)

Posted:2017.01.26 | Category: 耳

先日こんなニュースがありました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『米国耳鼻咽喉科・頭頚部外科学会(AAO-HNS)は1月3日、耳垢塞栓に関するエビデンスに基づく勧告を含む改訂ガイドラインを発表した。同日のOtolaryngology-Head and Neck Surgery誌で閲覧できる。

(中略)

耳垢は耳の奥への異物の侵入を防ぐなど耳の健康を守る役割を果たしていると同学会。
咀嚼や顎の動き、外耳道の皮膚のターンオーバーなどを経て外に排出されるのが正常なプロセスと考えられている。しかし、時にはこの自己排出プロセスがうまく機能しなくなり、耳垢が外耳道に溜まり外耳道が一部あるいは全て閉塞してしまうことがある。同学会によると、耳垢塞栓は小児の10人に1人、成人の20人に1人、高齢者や発達障害例などでは3人に1人以上に起こると試算されている。


過剰な耳掃除はしない。過剰な耳掃除は外耳道の炎症や感染の原因となり、耳垢栓塞率が高まる綿棒、ヘアピン、つまようじなどは耳を傷つけることがある。これにより外耳道裂傷、鼓膜の穿孔、耳小骨変位が生じて聴力低下、めまい、耳鳴りなどを招く恐れがある。


・イヤーキャンドルを使用しない。耳垢栓塞を除去するというエビデンスはない。


・自宅でできる耳垢栓塞の改善法は医師に相談する。耳垢を除去する方法の中には、ある種の疾患があると安全に行えないものがある。


・耳痛、耳漏、または耳からの出血は医師の診察を受ける。これらは耳垢栓塞の症状ではなく詳しい検査を必要とする。』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『耳垢栓塞』というのは簡単に言うと耳垢が耳栓のようにつまっちゃってる状態のことです。

耳垢は自然に耳の外に出ていく仕組みになっており、耳垢が乾いたら食事をしたり、話をしたりして顎を動かすたびに耳垢が顎の動きによって外に出ていくようになっています。

それをわざわざ邪魔して詰め込んじゃってる人が多い。ということですね。

 



しかし...イヤーキャンドル??

一度患者さんから聞いたことがあるような...

 

 

調べてみると、ろうそくを耳に置いて燃やしてリラックス~(^-^☆彡 

的な感じ?
字面だけ見るとなかなか恐ろしい感じですが、実際の画像を見てもなかなか衝撃的です(*_*;

耳ろうそく.png

こんな感じ。

(モグラくんの下半身がよくわからないので、布団をかけるという誤魔化しスタイル。耳の位置もあっているのかわからん...)


『耳垢がごっそり取れる!』というコメントとともに指の先ほどもありそうな耳垢がろうそくの中に出てきている画像も載っています。


 

(それはろうそくの燃えカスじゃ?)

と普通に思ってしまいましたが、まぁ害がなくてリラックスできるならしてもいいんじゃないでしょうか。
サイトによって『耳垢』と言ったり、『耳垢を取るためのものじゃない』と言ったりバラバラだし。


先述したように耳垢は自然と出ていくものなので、どう考えても全員からそんな大きな耳垢が取れるとは思いませんが(^-^;

 


まぁいづれにしても耳の中に変なものを入れないようにしましょう!

そしてつまようじで耳かきは絶対ダメ!



パチンコ玉を入れて取れなくなった!なんて人もいましたが、もちろんダメ!
私の身内ですけどね!!

Posted:2017.01.23 | Category: 医療系のお話

今日はお熱で受診された方のほとんどがインフルエンザの状態です。
流行ってきてますね~(*_*;


先日の話ですが、
『えっ?耳鼻科でもインフルエンザ検査ってできるんですか?』

患者さんに言われてこちらもびっくりしました(*_*;

もちろんできますよ!

 

 

インフルエンザの検査って『痛い』っていうイメージありませんか?
鼻の奥をグリグリされる、あの検査です。

 

その方法について、ちょっとだけ

 鼻用鑷子.jpg

 
この道具、鼻用鑷子(びようせっし)といいます。

つまり、お鼻用のピンセットです。

 


この先の部分が、だいたい大人の鼻の深さと同じくらいになっています。

計ってみると、8cmほどです。

 inhumenbou.jpg

さてさて、インフルエンザの検査でグリグリする綿棒です。


(微妙にピントが合ってませんが(*_*;)

当院で使ってる柔らかいものです。
一般に使われている綿棒と違ってふにゃふにゃです。


検査の時はこの綿棒を鼻の一番奥の『上咽頭』まで入れ込んで粘液を採取します。

つまり、大人だと8㎝程度は綿棒を入れなくてはならないわけです。
もちろん子供だともっと浅くていいわけですが、『上咽頭』に綿棒が当たる手応えで深さは調整します。

 

ちなみに、鼻水で検査する方法もありますが、正確性に欠けるためあまり行っている病院は多くないようです。
ちゃんと綿棒を入れ込む検査と比べて半分程度しか感度がないという報告もあります。

綿棒を2~3cm入れただけだと採取されるのはやはり鼻水だけ。正確性が落ちるのは当然です。

 


つまり綿棒をちゃんと奥まで入れないと正確な結果が出ないわけです。



また、アレルギー性鼻炎がある方などは鼻の中が鼻水でいっぱいですので、その中に突っ込んでもやはり正確性に欠けます。

しっかり鼻を掃除してから検査をすることが必要なのです!

 鼻の中 入口.png


 ちなみにお鼻の中ってこんな感じに入り組んでいます。


 allergy.png


さらにアレルギー性鼻炎だとこんなに粘膜が腫れあがります。鼻水もいっぱいですね~。
(粘膜が水ぶくれのように腫れるのがアレルギー性鼻炎の特徴で、見た目と症状だけでほぼ診断できます。)



こんな中を鼻も見ずに綿棒突っ込んではいけません。鼻の粘膜なんてすぐに傷つきます。

そしてほとんどの人は『鼻中隔湾曲症』といって鼻の真ん中の仕切りが曲がっているので、広い方を選んで隙間に綿棒を入れ込んでいかなくちゃいけません。

 
ちゃんと見ながらやれば痛みも少ないし、鼻血がでることはまずありません。


ついでに、ちょっと前に聞いた話

『〇〇病院でインフルエンザの検査を受けたら鼻に綿棒を突っ込まれたまま待合室で10分以上待たされたんですが、、、』

いやいやいやいや、それはツラすぎるでしょ(・_・;)

周りから見られて恥ずかしいし...周りの患者さんもみんな同じようにされていたらしいですが...

そんな長い時間する必要はないし、異物を10分も突っ込まれてたら鼻水もドパドパ出てさらに正確性が落ちるのでは...

 

結論:インフルエンザ検査を痛くなく正確に受けるためには耳鼻科にどうぞ。

 

というちょっぴり偉そうなお話でした(^^)

Posted:2017.01.19 | Category: お薬の話 医療系のお話

『風邪と言われて他の病院で抗生剤をもらいました』

日々診察をしていて本当によく聞く言葉ですが、この言葉完全に矛盾していることがわかりますか?

 

風邪=ウィルスによる上気道感染症です。

抗生剤=細菌を倒すための薬です。

 

ウィルスと細菌は別物です。効くわけありません。前回説明したように、耐性菌を増やすだけです。
そして抗生剤による副作用の可能性を上げているだけです。

 

 

風邪を治すためのお薬は存在しません。

『風邪のお薬を作れたらノーベル賞もの』といった言い方をされるくらいです。


 

では風邪薬って?

多くはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの抗炎症剤(痛み止め、解熱剤)

それに鼻水を抑えるための抗ヒスタミン薬(アレルギーのお薬)

鼻づまりに効くというお薬には血管収縮薬なんかも入っているようです。

 

つまり症状を抑えているだけです。
風邪が治るのは人間の免疫力によるものです。

 

 

ちょっと話がそれますが、現在流行っている『インフルエンザ』。

言うまでもなく、インフルエンザ『ウィルス』が原因です。


『イナビル』、『リレンザ』、『タミフル』といった抗インフルエンザ薬はウィルスの増殖を防ぎ、症状が悪化しないようにする薬です。

(ラピアクタという点滴の抗インフルエンザ薬もありますが、お薬が飲めないほど重症の方にのみ使うお薬です。)




私は流石に見たことがないですが、世の中にはインフルエンザのお薬と抗生剤を必ずと言っていいほど一緒に処方する医療者がいるそうです。

明らかに細菌感染を合併している場合は同時に処方することもありますが、インフルエンザ全員に処方するのは明らかにやりすぎ。

感染の予防投与にしても本当に必要なのは、なんらかの病気で免疫力が低下して入院している方くらいでしょう。

 

 

 

すべての薬には副作用がある』これは大事なことです。

副作用がゼロの薬は存在しませんので、無駄な薬は飲まないほうが健康的です。

特に抗生剤は副作用が多い部類のお薬です。

抗生剤を過度に頼るよりも、まずは自分の体には免疫力があることを思い出しましょう。

 

 

さて、3回連続で抗生剤について書いてきましたが、いかがだったでしょう。

ネットで検索すれば膨大な情報が得られるこの時代ですから、同じような内容を書かれているサイトもたくさんあり、二番煎じ、三番煎じになるのもわかっているのですが、受診された患者さんのお薬手帳を見ていて、『え~』っと思うことが多すぎて書き始めてみました。

 

 

何も考えずに最初から強いお薬ばかり使えば、治療は簡単です。考える必要がないわけですから。
効果も『一時的には』良いでしょう。


でも特にお子さんについては、長いこれからのことを考えてお薬は使わなくちゃ!

 

モグラVS細菌.png
モグラVS細菌
...モグラって尻尾ありましたよね?

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