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11月11日(土) 日本耳鼻咽喉科学会専門医講習会参加の為、副院長不在です。
診療時間等は通常通りです。
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(今日の治療薬2017より)
さて、前回の記事ではペリアクチン、ポララミン、アタラックスなどの第1世代抗ヒスタミン薬を使用しない理由を書きました。
(⇒前回の記事『ペリアクチン、ポララミン、アタラックス』)
最後に『最近は鼻水の症状に抗ヒスタミン薬(アレルギーの薬)を使用しない医師が増えている』という風に書きましたが、その理由について。
理由は簡単で、抗ヒスタミン薬を使用することによって、鼻水が粘っこくなってしまうということです。
なぜ鼻水が粘っこくなってしまうかというと、抗ヒスタミン薬による抗コリン作用が原因と言われています。
前回の記事でもちらっと書いてますが、抗ヒスタミン薬には『口が乾く、頻脈、尿閉』といった抗コリン作用と言われる副作用があります。
鼻水が粘っこくなってしまうと、特に鼻を自分で出せないお子さんはどんどん鼻水が溜まってしまい、副鼻腔炎になってしまう...という理由ですね。
た・だ・し|д゚)
この抗コリン作用、最近の抗ヒスタミン薬ではかなり軽減されています。
それこそペリアクチンやポララミンなどの第1世代抗ヒスタミン薬は強力な抗コリン作用があり、前立腺肥大症や緑内障の患者さんには基本的に使用禁忌となっています。
なので、ちゃんと新しい副作用の少ないお薬を使用すれば問題ないというのが私の考え。
そもそもアレルギー性鼻炎のお子さんが副鼻腔炎になりやすいのはアレルギーによって粘膜が腫れて鼻水が奥に溜まってしまうのが大きな原因ですので、抗ヒスタミン薬はしっかり使わなきゃでしょう。
ここで1つ発見した論文より
アレルギー性鼻炎がある慢性副鼻腔炎の患者さんに治療方法を以下の2つに分けて検討。
・抗ヒスタミン薬のみ
・抗ヒスタミン薬+クラリスロマイシン(抗生剤)
結果:治療成績に差は認めず。
ただし、膿がたくさん溜まっているような高度の副鼻腔炎の場合はクラリスロマイシンを併用したほうが成績が良い。
この論文は成人のみですが、軽い副鼻腔炎ならアレルギーの治療をしただけで治っちゃうわけです。
というよりアレルギー性鼻炎がある副鼻腔炎では抗ヒスタミン薬を併用することが大事。
お子さんでも軽い副鼻腔炎なら私も抗生剤は使用しません。
もちろん、もともとアレルギー性鼻炎がなくて、どろどろの鼻水(所謂あおっぱな)が出ているような時に抗ヒスタミン薬を使っても効果はないでしょう。
特に第1世代抗ヒスタミン薬なんか使ったら副作用だけで逆効果なんてこともあり得ます(*_*;
『効果が出るのが早い』というのメリットはあるので、症状が強い時にサッと使うという方法はありだと思います。
実際私もそういう方法で頓服で使ってます。
ちなみになぜ古い薬を未だに使うのか、先日製薬会社の人にも聞いてみましたが、やはりよくわからないという回答でした。う~ん(-_-;)
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11月11日(土) 日本耳鼻咽喉科学会専門医講習会参加の為、副院長不在です。
診療時間等は通常通りです。
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題名にあるペリアクチン、ポララミン、アタラックス。
全部『第1世代抗ヒスタミン薬』と呼ばれるお薬です。
特にお子さんの鼻水が多い時に処方されることが多いお薬となります。
お子さんが少し熱っぽくて咳、鼻水が多い時に処方された経験がある方は非常に多いでしょう。
(『風邪』と言われてアスベリン、ペリアクチン、ムコダインというお約束の処方)
抗ヒスタミン薬というのは、基本的にアレルギーに使うお薬です。
『アレルギーの薬 = 眠い』というイメージを持たれている方も多いかと思いますが、最近は眠気のほとんどない薬もあります。
しかし、『第1世代抗ヒスタミン薬』は名前の通り古いお薬で、非常に眠気が強いのが特徴です。
市販のお薬にもたくさん入ってますが、ほぼ例外なくカフェインが一緒に入っていて眠気がなるべく出ないようになっています。
『第2世代抗ヒスタミン薬』と呼ばれるアレロック、タリオン、ザイザルなどは第1世代に比べて眠気はずいぶん減っています。
特にアレグラ、デザレックス、ビラノアはほとんど眠気の副作用がありません。
『第2世代抗ヒスタミン薬』が1983年以降に発売されたお薬ですので、第1世代は少なくとも35年以上前に発売されているくらい古い薬。
『第1世代抗ヒスタミン薬』で眠気が強いのは脳内移行といって抗ヒスタミン薬が脳まで影響していることが原因です。
以前から脳内移行した抗ヒスタミン薬は(熱性)けいれんのリスクを上げることも指摘されています。
眠気だけでも認知学習能力や集中力の低下に影響しますので、当然ながら眠気は少ない方が良いです。
抗コリン作用と呼ばれる副作用(口が乾く、頻脈、尿閉)もありますので、アレルギー性鼻炎に対しては日本だけでなく、欧米のガイドラインでも『避けるべき薬剤』とされています。
なので、鼻水に対して絶対に使わないという医師もいますが、それでもいまだにペリアクチンやポララミンの処方はよく見ます。
その理由は...なんなんでしょ。正直よくわかりませんm(__)m
昔、ペリアクチンは食欲不振・体重減少の改善という効果があると言われていたようですが、今はその効果も否定されていますし...(^-^;
ただの風邪薬と言っても侮るなかれ、お子さんが薬を飲んだ後にボーっとしているようなことがあったら気をつけましょう(*_*;
以前にもステロイドと絡めてちょっと関連ある記事を書いてますので、よければ読んでください。
(⇒2017年3月10日の記事『ステロイドと花粉症』)
最近は鼻水の症状に抗ヒスタミン薬を使用しない小児科も増えているようですが、そのことについてはまた今度...
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11月の予定
11月1日(水) 他院代診の為、副院長不在
11月11日(土) 日本耳鼻咽喉科学会専門医講習会参加の為、副院長不在
両日とも診療時間等は通常通りです。
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全然新しい話ではないのですが、、、
『オトヴェント』っていう器具のご紹介(^-^)
こんなの
結構以前からある器具で、俗に『鼻風船』なんて呼び方もされていますが、これは『滲出性中耳炎』を治療するための器具です。
このHPの中耳炎のページでも解説していますが、中耳炎は基本的には耳管と呼ばれる耳と鼻をつなぐ管の不調によるものが多いです。(⇒中耳炎ページ)
このオトヴェントは鼻で風船を膨らませることで、耳管を開いて中耳に溜まった液の排泄を促すことができます。
簡単に言うと『耳抜き』をしっかりできるようになるということ。
(オトヴェントのホームページで詳しく解説されています⇒コチラ)
上の画像はYoutubeにアップされている動画の一部なのですが、日本語字幕付きでわかりやすく説明されていますので、興味ある方は是非。
お薬でなかなか治らない滲出性中耳炎に対して小児耳鼻咽喉科学会でも結構積極的に勧められています。
論文でも鼓膜チューブを入れる必要がありそうな滲出性中耳炎の子どもにオトヴェントを使用すると、お薬だけで治療するよりも明らかに改善が良い結果がたくさん出ています。
なので、このオトヴェントは飛行機で毎回耳が痛くなる方にもオススメです。
子どもでも3歳以上でしっかり教えればできるので、『航空性中耳炎』の予防にもなります。
ちなみにスキューバをする方で耳抜きが上手くできない方の練習にもなります。
また、耳がつまる感じがして、耳鼻科で鼻から管を通して耳に空気を『シュー』っと通すようなこと(耳管通気)をされた方もいるかと思いますが、これを自分でできるようになりますので通院の回数も減らすことができます。
Amazon他、通信販売でも購入はできますが、特に子どもさんの場合、耳鼻科で診察を受けた上で必要がある時だけ使うようにしましょう。
鼻水が多い時に使用すると逆に中耳炎を悪化させてしまいます(*_*;
ちなみにAmazon上での評価は脅威の☆4.9!!
当院でも必要がある方に2000円で販売をしています。
(ノーズピース1個、バルーン5個セット)
お子さんの中耳炎がなかなか治らない。
飛行機で毎回耳が痛くなる。
ダイビングで上手に耳抜きができない。
こんな悩みがある方、どうぞお気軽にご相談ください(^-^)
今回は真面目な話題で(^-^;
最近流行っているとよく言われるRSウィルスについて。
RSウィルス=Respiratory Syncytial virus
Respiratoryは『呼吸の』という意味ですので、読んで字のごとく呼吸器系に感染するウィルスです。
1歳までに50%以上の子どもが感染します。
そしてほとんどの子どもが2歳までに一度は感染すると言われています。
2歳以上の子どもは感染しても鼻かぜ程度の鼻水、鼻づまり、咳くらいの症状で終わってしまうことが多いです。
しかし、1歳未満の子ども、特に生後半年未満は重症化することがあり、注意が必要です。
『ゼーゼー』『ヒューヒュー』といった喘息のような音がしたり、顔色が悪い、呼吸が早いなどの症状があれば肺炎や気管支炎などを疑わなくてはなりません。
生後3か月未満の小さなお子さんの場合は、元気がなかったり、哺乳が悪かったりすると注意が必要です。
RSウィルスは当たり前ですが『ウィルス』なので抗生剤は効きません。
RSウィルスに対する抗ウィルス薬もありません。
症状に合わせて対症療法を行うしかないので、解熱剤や去痰薬を処方するくらいです。
RSウィルスは簡易検査キットがあり、鼻水を採取するだけで検査できますが、以下の条件が保険適応です。
◎入院中
◎1歳未満
◎パリビズマブ製剤(シナジス)が適応される乳幼児
パリビズマブ製剤とはRSウィルスの重症化を防ぐことができるとされているお薬です。
早産児や先天性心疾患や肺疾患など、リスクの高い児に対して適応となっています。
検査は0歳児しか保険適応にならないわけですが、これは1歳以上になると重症化することが少なくなるので検査する必要性は減るということです。
検査で陽性になっても他のウィルスによる風邪と同様の治療を行うだけですので、治療方針には影響しませんし。積極的に診断をつける意義があまりありません。
ただ、RSウィルスの感染は結構な頻度で中耳炎を合併します。
アデノやインフルエンザなどの他のウィルス疾患と比べてもその確率は高いと思います。
で、調べてみたところ、、、
2012年の論文を発見
症例数が24例と少なめですが
・2歳未満では、85%が中耳炎合併
・2歳以上では、25%が中耳炎合併
やはりかなり高率で中耳炎を合併するようです。
しかも結構重症の例が多く、鼓膜切開が必要なことも多い。
結論
RSウィルスはただの風邪のウィルスではありますが、小さなお子さんでは注意が必要です。
小さなお子さんがいるご家庭では、うつさないように気を付けてください(^-^)
やはり今月からアレルギー性鼻炎の状態が悪くなる人が多いですね。
そこでアレルギー性鼻炎関連の最近発見した論文から。
台湾からの論文なのですが、小児のアレルギー性鼻炎が虫歯(う蝕)を起こす頻度と関連しているか調べています。
9000人以上の子どもを対象に調べたところ、結論はアレルギー性鼻炎持ちの子どもは虫歯で病院を受診する頻度も多く、アレルギー性鼻炎が虫歯の発生と関連していると考えられました。
この結果自体は予測できたもので、アレルギー性鼻炎があるとどうしても口呼吸が多くなってしまいます。それによって口の中が乾燥してしまうわけです。
唾液には口の中をきれいにする作用がありますので、唾液が減ると虫歯や歯周病になりやすくなります。
シェーグレン症候群という唾液が減ってしまう病気がありますが、その病気でも虫歯は代表的な症状のひとつです。
さらに口がずっと開いている状態になると、歯並び、嚙み合わせが悪くなりやすいとも言われます。小さな子どもが寝ている時に口呼吸していたり、ずっと口が開いているような状態には注意しましょう。
大人でも口呼吸は鼻呼吸と比べて前頭葉の酸素消費量が多くなり慢性的な疲労感や集中力の低下を来すとも言われます。
当院のホームページ内のアレルギー性鼻炎の箇所でも書いてますが、アレルギー性鼻炎によって作業効率が下がるなどの影響は非常に大きいのです。
(⇒アレルギー性鼻炎のページ)
まぁ普通に考えてスポーツしたり勉強しているときに鼻がつまっているとパフォーマンスに影響しますよね(^-^;
大人も子どもも鼻づまりを甘く見ちゃダメ(*^^)
日本耳鼻咽喉科学会の初の全国調査によって2015、2016年の2年間で"おたふくかぜ"の合併症で難聴になった人が少なくとも336人いることがわかったと発表されました。
"おたふくかぜ"と言えば典型的には"耳下腺"といって耳の前~下にある組織が腫れあがる病気です。
痛みや発熱が主な症状ですが、合併症として難聴の他、髄膜炎を起こすこともあります。
この難聴は"ムンプス難聴"とも言いますが、残念なことにほとんど治りません。しかも重度の難聴の割合が多く、その後の生活に大きな影響を及ぼします。
両側の重度難聴を起こすこともあり、その場合は有効な治療は人工内耳の埋め込みくらいしかありません。
おたふくかぜはムンプスウィルスという"ウィルス"が原因ですので、抗生剤を使っても意味がありませんし、自然に治るのを待つしかありません。
しかし、その予防法として"ワクチン"の接種があります。
現在日本ではおたふくかぜワクチンは任意接種となっています。つまり『受けたいならどうぞ』っていう感じ。
アメリカやヨーロッパを含め、日本以外の先進諸国ではほとんど定期接種です。もちろん患者数は日本と比べてめちゃ少ないと報告されています。
日本も以前はMMRワクチンといって麻疹、水痘、おたふくかぜのワクチンが定期接種で行われていました。しかし、髄膜炎の副作用を起こす頻度が高いということで任意接種になったわけですが、その結果30~40%しか予防接種を受けていません。
今回の報告では2年間で336人となっていますが、実際にはもっと多いと思われます。
小さな子どもの難聴は気付かれずに放置されることもあり、最終的に原因不明となることもあるし、もともと届け出が必要な病気でもありませんので。
日本では流行する年には100万人以上、少ない年でも40万人程度はおたふくかぜにかかっています。
難聴を起こす頻度については色々報告がありますが、概ね0.01%~0.1%という感じ。
年間100万人のおたふくかぜ患者さんがいれば、100人~1000人が重い難聴の合併症を起こすことになります。幅が広すぎてピンときませんが(^-^;
兎に角、日本耳鼻咽喉科学会の発表も結論としては
『先進国で定期接種でないのは日本だけだ、急に何も聞こえなくなって一生後遺症に苦しむ現実がある』
としてワクチン接種を勧めています。
一番はまたワクチンが定期接種になることが望ましいと思いますけどね(^^)
昨日8月22日は診療終了後に熊本赤十字病院へ。
こんな会がありました。
日赤の小児科の先生が色々な患者さんの経過を発表し、その疾患について勉強する会です。
元職場ということもあり、会場に到着すると知った顔がチラホラ(^-^)
まぁまぁ広い会議室が満員になるほどでしたが、耳鼻科医の顔は見えず。
小児科の先生を中心に招待されているようですが、当院にも招待があったということは耳鼻咽喉科も招待されているハズなんですけどね(*_*;
そして日赤の小児科以外の先生が多く参加している。素晴らしい。
さて、昨日は下の疾患についてのお話がありました。
①Stevens- Johnson症候群
発熱、咽頭痛から全身の皮膚、粘膜に紅斑や水疱を形成して"ただれた"ようになる病気。
原因は解熱鎮痛剤や抗生剤による薬剤性が多く、薬疹の重篤なものと思われることも多いのですが、マイコプラズマやヘルペスの感染によっても起こります。死亡率も3%と高い病気です。
②腸管出血性大腸菌による溶血性尿毒症症候群
O157で有名な腸管出血性大腸菌ですが、その大腸菌が出すベロ毒素というものが腎臓にダメージを与え、赤血球を溶かしてしまい急性腎不全を起こすことがあります。
腹痛、血便、血尿、貧血などの症状を起こし、重症では透析を要することもあります。
特に夏場に多く、ニュースでも時々報道されます。
最近もポテトサラダからの感染が話題になりました。
③再生不良性貧血
骨髄の機能が低下することによって、白血球、赤血球、血小板が減少してしまう病気。
症状として倦怠感や動悸、紫斑(皮下出血)が挙げられます。免疫抑制剤を中心とする治療や重症では骨髄移植も要することがあります。
④注意すべき腹痛 特に腸重積
小児の腹痛で多いのは、便秘や胃腸炎。
そして注意すべき腹痛として虫垂炎(盲腸)や腸重積があります。
腸重積は小腸が大腸の中に入り込んでしまって、中が通らなくなる"腸閉塞"を引き起こしてしまう病気です。
症状はもちろん腹痛を起こすのですが、症状に波があるのが特徴と言われています。他、血便や嘔吐など。
浣腸で圧をかけることで入り込んだ腸を戻す治療もありますが、入り込んでしまった腸が締め付けられることで血流がなくなり壊死してしまったり、腸が破けて腹膜炎を起こしている場合などは手術が必要です。
どの病気も医師であれば知っているのが当たり前なんですが、やはり実際の症例を見せられると怖い病気ばかり。
耳鼻科が関連することは多くない病気ですが、時にはこういった勉強会で知識に刺激を与えるのは重要ですね(^-^)
熊本市の耳鼻咽喉科 たかむら耳鼻咽喉科
〒862-0926 熊本市東区保田窪5丁目10-26 ■診療時間 ●月~火・木~金/9:00-12:30 14:30-18:30 ●水曜日/9:00-12:30 ●土曜日/9:00-12:30 14:00-15:00 ■休診日 日曜・祝祭日
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