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寒くなったり暖かくなったりする日々が続いておりますが...
やはり今年は発熱の患者さんは例年と比べてかなり少なめです。
以前にご紹介した隔離用診察室を使用しつつ診療をしておりますが、11月に入ったあたりから扁桃炎で発熱される方が多い印象です。
その中に溶連菌感染症やアデノウィルス感染などもあり、しっかり診察し必要時は検査を行うことがやはり大事ですね。
ちなみに新型コロナウィルス感染の症状では咽頭痛(のどの痛み)は頻度は高くないようです。
いくつか論文も検索してみると10%前後というデータが多いようです。
発熱、咳、倦怠感などが多い症状で、それから嗅覚・味覚障害はやはり特徴的な症状かと思います。
話は戻りまして、扁桃炎というのはのどをちゃんと見ればすぐに分かるわけですが...
扁桃炎の方を診察する際、ほとんどの耳鼻科医はさらにのどの奥まで観察すると思います。
扁桃炎には急性喉頭蓋炎や扁桃周囲膿瘍など、油断できない状態が隠れていることもあるからです。
(詳しくは⇒2019年6月10日のブログ『のどの奥を診る』)
すいません、ここから愚痴っぽくなります(-.-)
扁桃炎で受診された方が「何人も」同じようなことを仰ってました。
『違う病院で熱があるというと、のどもあまり見ずに薬を出されました』
え~(´・ω・`)
新型コロナウィルス感染を警戒してなるべく患者と接触しないということだとは思いますが...受診して薬を出しているということは、『発熱患者お断り』という病院ではないはずです。
なら感染対策を行いながら最低限の診察と検査はするべきでは?
のどをちゃんと見るだけでもいいし、必要があれば検査もするべきでしょう。
...と、愚痴ってもしょうがないので
扁桃炎は年に何度もかかる人もいらっしゃいます。
ひどいと食事もできない、唾液も飲み込めないくらいキツい病気です。
そういった方が普通に病院を受診して、普通に治療が受けられるように早くなってほしいですね。
前回の『舌が黒い』に引き続き、『舌が白い』時のお話です。
これも結構多いですね。
前回書きました『黒毛舌』と同じようなところが結構あります。
(⇒2019.7.12のブログ『舌が黒い?』)
やはり"舌乳頭"が何らかの理由で伸びて硬くなってしまい、これだけでも白く見えることがあります。
さらに、その隙間に食物の残渣が溜まったり、そこに細菌が繁殖することなどでさらに白くなります。
これを『舌苔(ぜったい)』と言います。
原因としては、やはり口腔内の不衛生や抗生剤などの使用が挙げられます。
それから唾液が少なくなり、口の中が乾燥すること。
唾液には口の中の汚れを洗い流し清潔にする役目もありますので、乾燥すると舌苔も溜まりやすくなります。
唾液が少なくなる病気は『シェーグレン症候群』というものもありますが、そういった病気がなくても例えばアレルギー性鼻炎で口呼吸が増えるだけでも口腔内は乾燥しやすくなります。
治療法も『黒毛舌』と似たような感じで、口腔内を清潔にすることや乾燥を予防するだけでも改善することは多いです。
やはり、無理に磨いて舌苔を取ろうとしない方が良いです。
また、『カンジダ』という真菌(カビ)が増殖することで舌が白くなることもあります。
この場合、舌だけでなくのど全体にも白いものが付くことが多いと思いますが、痛みや違和感も強いです。
これについては以前に書きました。
(⇒2019.3.23のブログ『カビの話 のど編』)
そして、一番注意しなくてはならないのが『舌がん(口腔がん)』です。
表面が白くなっている状態で『白板症』というものもあります。これは『前がん病変』とも呼ばれる、後にがんに変わりやすい状態のことです。
硬いしこりが触れたり、見た目から『舌がん』を強く疑う場合もあります。
しかし、見た目的には表面がほんの少し白い程度でがんの初期だったり、前述した前がん病変だったりすることもあります。
『がん』の診断をつけるには基本的に組織を一部採取して顕微鏡で見る『病理検査』というものが必要になります。
体の一部を切り取る検査ですので、白い病変を全て検査するわけにはいきません(^-^;
経過や症状、病変の部位(舌がんは舌の側面に多い)などから検査の必要性を考えます。
舌が白くなっても過剰に心配する必要はありませんが、なかなか改善しなかったり、痛みなどの症状がある場合はどうぞ耳鼻科受診されてください(^^)
前回予告した通り、舌の話の続きです。
『舌の色が変わった』
結構多い訴えです。
特に今回は『舌が黒い』時のお話を。
これは黒毛舌(こくもうぜつ)と呼ばれる病気のことが多いです。
特に舌の中央部分が中心に黒くなることがほとんどです。
前回も書きましたが、舌の表面には"舌乳頭"と呼ばれる突起が密集しています。
この中の"糸状乳頭"がなんらかの原因で角化(硬くなって)し、伸びてしまうことがあります。
こうなると舌に毛が生えたような見た目になり"毛舌(もうぜつ)"と呼ばれます。
これに色が付くことがあり、特に黒くなった場合を"黒毛舌"と呼ぶわけです。
特にカンジダと呼ばれる真菌(カビ)やある種の細菌の増殖によって色が付くと言われています。
で、その原因として多いのは、抗生剤やステロイド剤の使用、殺菌性のうがい薬を使うこと。
これらによって口腔内の常在菌(もともといる菌)が少なくなってしまい、他の菌が増えてしまう"菌交代"が原因となります。
ストレスや体力の低下でも口腔内の細菌のバランスが崩れるとも言われます。
他の原因としては、口腔内の不衛生やタバコによる着色もあります。
治療については、原因となる抗生剤やステロイドが中止可能であれば中止すること。
そして口腔内を清潔にすること。
これだけで改善することが多いです。
舌に色がつくと、歯ブラシでこすって落とそうとする方もいらっしゃいますが、これは勧めません。
歯ブラシは歯を磨くために作られてますので、舌を傷つけることが多いです。
舌を磨くのであれば"舌ブラシ"という舌を磨くためのものがあります。ただし、これもやり過ぎはダメ。
舌の色が変わると、精神的にも嫌な感じがしますが、軽いものなら特に様子を見るだけでも問題ないことがほとんどです。
ただし、『舌が黒い=黒毛舌』ではなく、他の病気がある可能性もありますので、お困りの方は耳鼻科受診をお勧めします(^^)
なんとなく鏡で口の中を見ていると、舌にモコモコとしている部分が...
しかも何個もある?
痛くもなんともないけど...
ということで心配になられて受診される方が時々いらっしゃいます。
で、その中で多いのがコチラ
舌の奥の方でVの字にならんでいるモコモコ。
コレ、結構奥の方を頑張って見ないと見えないので、初めて見ると確かに心配になるかもしれません。
でもこれはもともと誰にでもあるものなんです。
舌の図。
この中の有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)というものです。
舌には4つの乳頭があります。
・糸状乳頭:舌表面の前方2/3ほどに存在。舌の触覚に関係。
・茸状乳頭:糸状乳頭の間にところどころある乳頭。赤い粒のような感じに見えるもの。
・有郭乳頭:奥の方にV字に並ぶ乳頭。
・葉状乳頭:舌の後方、側面にある乳頭。
この4つを総称して『舌乳頭(ぜつにゅうとう)』と呼びます。
この中で、糸状乳頭以外には味を感じるための味蕾(みらい)が存在します。
『舌乳頭の中で味蕾が存在しないのはどれか?』っていう問題が出しやすいので、大学の試験で何度も見た覚えが(^-^;
年に数人はこの舌乳頭を"できもの"と勘違いされて受診されます。
もちろん、舌乳頭以外にできものがある可能性はありますので、気になる方は遠慮せず耳鼻科を受診してください。
唐突な舌の話でしたが、いくつかまだ書きたいことがあるので、舌の話が次回も続きます(^_-)-☆
『こんなことで受診してすいません...』
申し訳なさそうに患者さんから言われることがあります。
多いのが『魚の骨がのどに刺さって痛い』という症状です。
魚の骨を飲み込んでしまった後から痛みが続く場合、絶対に遠慮せず受診してください。
魚の骨をなめてはいけません。
魚の骨がのどに刺さる場合、多いのが扁桃腺(口蓋扁桃)や舌根部(ベロの根っこ)に刺さっている場合が多いです。
この場合、目で見て確認できれば直接摘出が可能です。
少し奥の方になると、喉頭鏡というのどの奥を拡げる器具を使ってとることもあります。
さらに奥になると内視鏡を使用して摘出することもあります。
『魚の骨が刺さったらご飯を飲み込め!』という民間医療(?)がありますが、これは止めたほうがいいです。
うまい具合に骨が抜けてスッキリ!...することもあるかもしれませんが、逆もあり得るからです。
つまり骨がさらに奥まで刺さっていくことがあるわけです。
ちなみにのどだけではなく、食道に骨が刺さることもあり、同じように奥に刺さっていくこともあります。
のどや食道の粘膜の中まで骨が完全に埋まってしまうと、見た目的にも発見できなくなりますし、もちろん摘出も普通にはできません。
症状が続く場合はCT検査まで行って骨を探すこともあります。
で、埋まった骨がどうなるかというと...
さらに奥にどんどん進んでいくことがあるんです。
骨というものは当然清潔ではありませんので、刺さった場所で細菌が増えてしまい、『膿瘍(膿がたまる)』をつくってしまうことがあります。
こうなってしまうと、ほとんどの場合手術が必要になります。
骨を摘出することと、膿を出して感染を制御するためです。
さらに、その先に大きな血管や重要な臓器があったら...
その結果、頸部膿瘍、縦隔膿瘍、食道穿孔などを起こすことがあります。
大動脈穿孔、心タンポナーデ、反回神経麻痺を起こしたという報告もあります。
別に脅かすために書いているわけではないですよ(^-^;
もちろんここまで重症になることは非常に稀ですし...
『こんなことで受診してすいません』なんて全く考えなくて大丈夫です!
というお話でした(^^)
またまた熊本市ホームページより
まだまだ手足口病流行ってますね((+_+))
手足口病、ヘルパンギーナと最近ブログを書いたので、『夏風邪』のもう一つ、『咽頭結膜熱(プール熱)』について書いてみます。
咽頭結膜熱の原因はアデノウィルスというウィルスです。
アデノウィルス自体は夏に限らず、1年を通じて見られるウィルスなのですが、特に夏になると咽頭結膜熱という形で流行します。
プールの水を介して流行するとされ、"プール熱"とも呼びます。
症状としては、名前の通りで、『咽頭(のど)』の痛み、『結膜(目)』の炎症による眼脂(めやに)、眼痛、流涙、そして『熱』。
並べて『咽頭結膜熱』ですね。
だいたい3~5日程度症状が持続すると言われています。
アデノウィルスは検査キットがありますので、のどや目から検査することで診断は可能です。
治療は基本的に解熱剤などの対症療法です。
目の症状が強い時には眼科での治療をお勧めすることもあります。
このアデノウィルス、飛沫感染(咳などでうつる)、接触感染でうつります。
そして、消毒液などにも結構強いと言われます。
とはいってもタオルや食器などを共用しないこと、手洗いはもちろん重要でしょう。
プールを介して流行するので、プールの塩素濃度を適正にしなくてはなりません。
(これは個人では無理ですが(^-^;)
手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱とも大人も気をつけなくてはなりません。
子ども達も、夏休みまであと少し、中体連もあっているようで、体調には気を付けて(^^)/
熊本市ホームページより
前々回のブログでも書きましたが、相変わらず警報レベルの手足口病。
たしかにまだまだ多い印象です。
それとともに最近はヘルパンギーナが増加してきてそうな感じですね。
この時期になると毎年書いている気もするし、前々回も書いてますが『手足口病』『ヘルパンギーナ』『咽頭結膜熱』の3つを『夏かぜ』と呼びます。
で、ヘルパンギーナですが、主にエンテロウイルスが原因になります。
特徴は突然の発熱と咽頭痛。
のどは手足口病と同じように水ぶくれができます。水ぶくれが潰れると口内炎のようになり痛みが強いのも特徴です。
のどの所見が手足口病と似ているので、手足の皮疹の有無が診断につながります。
治療も手足口病と同じく、基本的には解熱剤などの対症療法のみです。
感染力が強いのも同じ。2~4週間程度は便からウィルスが排出されるので、感染予防が長めに必要なのも同じ。
特に出席停止の決められた期間もないので、『発熱などの症状がおさまって、元気になれば登園・登校OK』というのまで同じです。
なので、症状とのどの見た目で『ヘルパンギーナ』と診断された後に手足に皮疹が出てきて、実は『手足口病』だったということもあり得るのですが、特に治療法も変わらないのであまり問題ありません。
大人でもかかることがあるのも同じですので、お気を付けくださいね~(^^)/
書いてることがほとんど手足口病と同じなので、目新しくない記事でした(*_*;
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