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医療用語の記事一覧
前回からの流れでアレルギーのお話です。
『経皮感作』という言葉、私も少し前から色んな文献などで目にすることが多くなりました。
読んで字のごとく『皮膚を経て感作する』という意味ですが、まず『感作』とは?
簡単に言うと、様々な食物やハウスダストなどに対して免疫が働きアレルギーを起こすようになってしまうことです。
つまり『経皮感作』とは『皮膚を経てアレルギーになる』ということです。
なぜこんなことがわかってきたのか?
もともと食物アレルギーは腸管からの感作で発症すると考えられていました。
しかし、小麦成分が入った石鹸を使用した方々が小麦アレルギーを発症し大きな問題になりました。
他にもピーナッツオイルを含んだ製品をスキンケアの為に使用していた方々がピーナッツアレルギーを発症したという報告もあります。
こういった流れから『皮膚を経たアレルギー』というものに対する研究が進んできたようです。
皮膚が正常であれば角質に守られアレルギーの原因となるような物質が入り込む隙間はありません。
しかし、皮膚に傷があったり、湿疹があったりすると異物が入り込んでしまいアレルギーが成立する原因となってしまうようです。
特に乳児期にアトピー性皮膚炎があると、食物アレルギー、さらにアレルギー性鼻炎、気管支喘息というアレルギー関連の病気を次々と合併してしまうことがありこれを『アレルギーマーチ』と呼びます。
アトピーがあっても次のアレルギーを起こさないように、皮膚を良い状態に保つことが重要そうですね。
もちろん、アレルギー全てが皮膚を介して起こっているわけではないはずですし、環境や遺伝的要因もあると思います。
しかし、スキンケアがアレルギーの予防手段として重要であると考えて良さそうです。
スキンケアの具体的な方法などは皮膚科や小児科のアレルギーに詳しい医師の方々にお任せします(^-^;
ただ、こういうアレルギー等に詳しい医師の話を聞くと、まずは『保湿』というキーワードがだいたい出てきます。
保湿剤だけでもアトピー性皮膚炎の発症を予防できるという報告もあります。
やっぱりアレルギーは『鼻だけ』『皮膚だけ』ではなく、全身のことをしっかり考えて上手くケアしなきゃいかんですね(^^)/
『ショック』と聞いてどういう意味を思い浮かべますか?
・びっくりした状態
・強い衝撃を受けた状態
・Youはshock!!
などが一般的かと思います。
(3つ目は一般的ではないかも(^^;))
しかし、医学的には違う意味があります。
医学的には『急性循環不全』という状態を指す言葉になります。
では、循環不全とは?
簡単に言うと、血液が十分に供給されない状態で、その結果様々な臓器の機能が落ち生命の危機をもたらします。
(細かい話はだいぶ端折ってます)
『アナフィラキシーショック』という言葉は有名かと思いますが、これはアレルギーが原因の『ショック』。
他にも原因により心原性ショック、閉塞性ショック、低用量性ショックなど色々あります。
耳鼻咽喉科で関わることが多いのはアレルギーによる『アナフィラキシーショック』でしょうか。
もしくは感染による『感染性ショック』、出血による『低用量性ショック』くらいですかね。
アナフィラキシーショックについて少し書きます。
アナフィラキシーショックは感染性ショックと同じ『血液分布異常性ショック』に分類されます。
色んな原因によるアレルギー反応によって、血管が拡張してしまいます。さらに血液中の水分が血管の外に漏れ出るようになり、相対的に血管の内容量が減少してしまい様々な症状を起こします。
典型的な症状としては、息切れ、呼吸苦、蕁麻疹、かゆみ、皮膚が赤くなる、意識が遠くなる...などなど
日本ではアナフィラキシーで年間50人ほど亡くなっています。
その原因で多いのは、『蜂に刺された』ことによるアナフィラキシー、そして薬物のアレルギーです。
食べ物でもアナフィラキシーを起こすことがありますが、薬物や蜂毒に比べると症状の出現がゆっくりなので、生命に関わることは多くないようです。
ショックの治療はもちろん原因によって異なります。
同じくアナフィラキシーショックの治療について書きます。
軽度のアナフィラキシーの場合(ショック状態までなっていない時)、血圧や呼吸状態が安定していれば抗ヒスタミン薬(アレルギーの薬)やステロイド剤、気管支拡張剤などで様子をみることもあります。
血圧の低下、意識障害などを伴うショック状態の場合はバイタル等を確認し速やかにアドレナリン(エピネフリン)を投与します。
アドレナリンは副腎から分泌されるホルモンの一種ですが、血圧を上げ、心拍数を増やし、気管支拡張も促進します。
アナフィラキシーは急激に症状が進みますので、治療は迅速に行わなくてはなりません。
なので、アナフィラキシーを繰り返すなどリスクの高い患者さんには『エピペン』という自分でアドレナリンを注射する医薬品を処方することがあります。
『エピペン』のお話はまた次回(^^)
鼻炎、副鼻腔炎、咽頭炎、中耳炎、肺炎、胃腸炎、関節炎...
語尾に『炎』がつく病名っていっぱいあります。
この『炎』は『炎症』を意味しているわけです。
『のどに炎症を起こしてますね』
のどが痛くて病院を受診した際、こんな感じで説明を受けたことがある方は多いのではないでしょうか?
まず第一に強調したいのが『炎症=感染』ではない。ということ。
感染は炎症の原因の一つではありますが、イコールではありません。
『炎症起こしているので、抗生剤を使う』というのは間違いです。
もちろん、細菌感染が原因の炎症には使用しますが(^^;)
『炎症』とは?
『炎』という字からすると、何か燃えてるような感じですね。
例えばwikipediaを見てみると...
『炎症(えんしょう、英: Inflammation)とは、生体の恒常性を構成する解剖生理学的反応の一つであり、恒常性を正常に維持する非特異的防御機構の一員である。炎症は組織損傷などの異常が生体に生じた際、当該組織と生体全体の相互応答により生じる。』
と冒頭に書いてあります。
うん。なんのこっちゃ(^-^;
これを簡単に言い直すと
『炎症とは、生き物の正常な状態を維持するための反応であり、組織が傷ついた時などに起こる』
という感じでしょうか。
つまり、体に色んな異常が起きたときに起こる反応の一つです。
原因はいっぱいあって、例えば擦過傷や打撲などの物理的なもの、ウィルスや細菌などの感染、高温や低温などの温度によるものもあります。
これらによって組織が異常を起こすと、発赤(ほっせき)、熱感(ねっかん)、腫脹(しゅちょう)、疼痛(とうつう)が生じます。
これら4つは『Celsusの4徴候』と呼ばれます。呼び方はどうでもいいけど(^^;)
(さらに組織の機能障害を加えて『Galenosの5徴候』と呼ぶこともあります。)
つまり、炎症を起こすと、『赤くなって、熱くなって、はれて、痛い』ということです。
(どれかが欠けることもあります)
なぜこのような症状が起こるのか?
組織に炎症が起こると毛細血管の拡張が起こり血流が増加します。これによって治癒に必要な物質を送り込みます。
拡張した血管から液体成分が漏れ、腫れます。白血球も血管外に移動し、感染の防御となります。
この中で痛みに関連する物質も放出され、痛みが出ることで異常を感知します。
つまり、これらの反応は組織が受けたダメージを回復させるためであり、悪化を防ぐためです。
痛みが出るのも、痛みがあることで運動を制限させ、休養させるためです。
治療は?
もちろん、原因によります。感染が原因であれば感染の治療。
上にも書いた通り、炎症とは体を回復させるための反応でもありますので、炎症があるからと言って全てを抑え込む必要はありません。
ただ、痛みなどの症状が強い時はもちろんお薬は有効です。
炎症そのものを抑える為には『抗炎症薬』というのもあります。
ステロイド系と非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の2つに大きく分かれます。
NSAIDsで有名なのはロキソニン、ボルタレン、アスピリン、バファリンなどですね。
こういったお薬も上手に使いながら症状を抑えつつ、原因を治療していくのが大事だと思います。
医療関係者はよく使う言葉だけど、患者さんにはちゃんと伝わらない言葉って色々ありますね。
そういうわかりにくい医療用語について、これからちょくちょく書いていこうかと思います。
こういった解説のようなブログになると文章ばっかりで面白みに欠けるような気もしますが...(^^;)
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