たかむら耳鼻咽喉科

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医療系のお話の記事一覧

Posted:2017.02.25 | Category: 医療系のお話 耳

前回のブログで2月22日に鼻耳の調子が悪くなったことを書きましたが、2月24日朝からなんだかまた右耳がつまった感じ。
鼻の調子はまずまずなのですが、明らかに耳の調子がおかしい。患者さんが途切れた時間に院長に耳の中を見てもらう。

診察上は異常なし。


念のため、聴力検査を行う。

結果...
DSC_1332.JPG

...突発性難聴!?

そしてなんだかフラフラする感じもある。
聴力検査では低音域が特に落ちている。
念には念をいれてティンパノメトリー(鼓膜の動きを見る検査)も行う。

...異常なし。




診断名『低音障害型突発性難聴』


程度としては重症ではありませんが、実際経験してみるとかなり不便。
相手の声の聞き取りが悪いのはもちろんですが、自分の声の調整がしにくい!

治療のメインはステロイドの内服
プレドニゾロンというお薬で1日30mgから徐々に減らしていく漸減療法という使い方です。
DSC_1336.JPG

胃腸障害を起こすことがあるので、胃薬も忘れずに。
DSC_1338.JPG

そしてこれ
DSC_1337.JPG
メニレットゼリー

以前は『イソバイド』という液体のお薬を使っていましたが、非常に飲みにくいという評判でしたから、改良してゼリーになったのでしょう。
これは『利尿剤』です。
『メニエール病』という病気がありますが、この病気の原因は内耳の『浮腫』つまり水膨れです。その水膨れを利尿剤で抑えるために使います。
『低音障害型突発性難聴』もメニエールと同様の障害が考えられており、このお薬を使います。

とりあえず見た目はこんな感じ。
DSC_1339.JPG

匂ってみる。
う~ん、なんだか黒糖のような感じ。悪くない。

...飲んでみる。



.........マズい!!!!!!!!!!!!!!!


苦みが強く、後味がめちゃ残る!
これを1日3回、、、(:_;)

でもきっちり治したいので頑張って飲み続けます(:_;)


しかし、この病気の原因でよく言われているのは、ストレスや心身の疲れ。
よく患者さんには『なるべくストレスのない生活を心がけて、食事・睡眠を十分に摂って、楽しいことはたくさんしましょう』などと説明しています。

あんまりストレスとか感じる性格でもないのですが、そんなに疲れ溜まってたのかなぁ(^-^;

診察中は患者さんが左側にくるので、右耳だったのは不幸中の幸い。
診察は通常通り行えますので、ご心配なく(^^)/

Posted:2017.02.17 | Category: 医療系のお話

今日は朝から大雨で暖かくなりました。

そして暖かくなったということは、天気が良くなればいよいよスギ花粉が本格的に飛びますよ!

明日は天気も良さそうなので、要注意です!

熊本は去年が花粉飛散が少なく、症状も軽い方が多かったようですが、今年は非常に多いと予想されています。

スギ花粉は2月~3月までですが、そのあとを追うようにヒノキの花粉が飛散します。


そしてスギ花粉症がある方の7割程度がヒノキ花粉症も持っていると言われています。


結局、4月まで症状が続くことが多くなりますので、既にアレルギー性鼻炎とわかっている方はお薬を持っておきましょう。

わからないけどなんだか鼻水出るし、目がかゆくてくしゃみも出るという方は一度検査しましょう。


お子さんの鼻水もすでに多くなっている子もいて、前回ご紹介したアレルギー検査新兵器も活躍しています。

痛みはなく、3歳でも泣き出すことなく検査できています。


ご希望の方はお気軽に(^^)


そしてインフルエンザも少し落ち着きましたが、まだまだ流行中です。

A型がまだ多いですが、B型の方もちょこちょこと出てきてます。


一度かかったからと言って油断しないようにしましょう(^-^)

Posted:2017.02.14 | Category: 医療系のお話 鼻

さぁさぁ、徐々に症状も出てきているスギ花粉によるアレルギー性鼻炎です。

基本的にアレルギー性鼻炎は鼻の中の見た目だけでほとんど診断できます


で、アレルギーの原因については症状の出る季節と症状で推定できます(スギ花粉だったり、カモガヤ花粉だったり、ハウスダストなど)。


しかし、実際に検査で何のアレルギーなのかを調べるためには血液検査を行う必要があるのです。
(皮膚反応検査というのもありますが)


血液検査だと結果が出るのに1週間弱かかりますし、なにより血液を採るために針を刺さなくてはいけません。小さなお子さんではなかなか大変です。
そして私も注射が大嫌いなので、やはり大問題です。


そこで、題名の通り、アレルギー検査の新兵器を先月に試してみました。
こんなのです。

DSC_1278.JPG

『20分でわかるアレルギー検査 イムノキャップラピッド』です。
とある耳鼻科で使われていると聞いて、『これはいい!』と思い立ち直接メーカーに問い合わせたところ、先月デモを持ってきて頂けました。


実は2010年から発売されており、知ってはいたのですが。
最近子供でも『検査したほうがいいな』と思うことも多く、調べていたところ巡り合いました。


検査できる項目は
『スギ』
『カモガヤ』
『ブタクサ』
『ゴキブリ』
『イヌ』
『ネコ』
『ヨモギ』
『ダニ』
の8項目です。


血液で調べるのですが、なんと『3滴』ほどあれば大丈夫なので、指先にパチン!とするだけでよいのです。


すでに数人のお子さんに検査を行いましたが、3~5歳のお子さんでも全く泣き出すこともありませんでした!


で、私も試してみました。

指先にすごく小さな針が出る道具でパチンとします。


痛みは...一瞬『チクッ』とする感じがありますが、注射と比べると全然痛くありません!

DSC_1282.JPG


ジワ~っと出てきた血液を採ります。

DSC_1285.JPG

すると20分後には結果が!!


DSC_1287.JPG

この検査のメリットとデメリットを挙げると、、、



・メリット
検査が20分でわかる
ほとんど痛くない
採血の難しい子供でも簡単
注射器を使わず、針も見えないので、苦手な方も安心

・デメリット
項目が8つ決まっているので、他の項目は調べられない



といったところでしょうか。
検査の代金は3割負担で3090円です。
これは通常の採血で同じ項目を調べたときと同じ代金になります。


アレルギーの治療の一番の基本はアレルギーの物質を体の中に入れないことなので、敵を知ることは非常に重要です!

ご希望の方はお気軽にどうぞ!


ちなみに私はしっかりと『ダニアレルギー』(つまりハウスダスト)でした。
昔っからホコリに弱いんです、、、(^-^;

Posted:2017.02.08 | Category: お薬の話 医療系のお話 学会

1月21日、2月4日と土曜の夕方から勉強会。

話題の中心は季節柄かどちらもアレルギー性鼻炎です。


当院でも行っている『舌下免疫療法』がやはり効果的というお話や、耳鼻科がかかわる難治性疾患として『好酸球性中耳炎』『好酸球性副鼻腔炎』そして最近よく話題になる『ANCA関連血管炎性中耳炎』などの講演もありました。


こういう場所は特になかなか学会などに参加できない開業医にとって新しい知識を吸収するために必要な場所ですが、毎回参加者も少ないし決まって同じメンバー。2月4日なんて10人ちょっとしかいなかったような...( 一一)


まぁ愚痴はおいといて。
昨年、新しいアレルギーのお薬が相次いで発売になりました。


『デザレックス』と『ビラノア』というお薬です。
どちらのお薬にも共通するのが『眠くならない』ということ。


通常、アレルギーに一番使用する『抗ヒスタミン薬』というものは副作用として眠気が強いことが知られています。これは簡単に言うと、お薬の成分が脳にも作用してしまうためです。

特に第一世代と呼ばれる古いお薬(ポララミン、レスタミン、アタラックスなど)は眠気が結構強いので、最近はそこまで使われることはありません。

第二世代の抗ヒスタミン薬(アレロック、ザイザル、タリオンなどなど)は眠気が少ないです。とは言ってもゼロではなく、人によっては眠気がくることもあり、添付文書には『車の運転に注意』という記載があります。


『車の運転に注意 』の記載がない薬としては『アレグラ(フェキソフェナジン)』がこれまでもありましたが、これで『ビラノア』『デザレックス』と選択肢が増えました。


『デザレックス』のメリットは眠くならないことと、いつ飲んでも大丈夫ということ。

『ビラノア』は食事の影響を受けるので、空腹時に飲む必要がありますが、即効性がありアレルギーを抑える力も強いようです。

まだ発売したばかりのお薬ですので、2週間分までしか処方できませんが。眠気があると困る運転することが多い職業の方などに良いのではないでしょうか。


すでに自分でも内服してみましたが、確かに眠くはなりませんでした。アレルギーの症状もちゃんと抑えられます。
(こういう時は自分がアレルギー性鼻炎だと便利(^-^;)


アレルギーのお薬はたくさんありますが、『鼻づまりが強い』『鼻水が多い』などの症状によって選びます。
そして点鼻薬を併用することも非常に有効です。


ちなみに、ドラッグストアでもアレルギーのお薬は売ってます。

正直、特に点鼻薬はおすすめしませんが、、、


その理由はまた今度(^^)/

Posted:2017.02.01 | Category: お薬の話 医療系のお話

インフルエンザどんどん流行っています!

ほとんどがA型ですが、B型の方もちょこっと。


そして両方のAB型もいらっしゃいました(*_*;


その中で気になることが。
昨日とある患者さんが、、、
『子供が〇〇耳鼻科でインフルエンザと言われたんですけど、まだ小さい(たしか1歳)からタミフルは出せないと言われて違う薬をだされたんですが、、、』


処方箋には思いっきり『抗生剤』



え~(・_・;)


厚生労働省は2016年11月24日、タミフル(オセルタミビルリン酸塩)のドライシロップ製剤について、新生児と乳児への用法用量を追加し保険適用の対象としました。


つまり0歳児でも保険適応で処方できます。
そして保険適応になる前からも状況によっては使用されてきました。
もちろんインフルエンザは重篤でなければ自分の免疫で治ってしまうもので、実際抗インフルエンザ薬はほぼ使わないという医師もいます。



...しかしなぜ抗生剤を出す

インフルエンザにはもちろん効果ないし副作用と耐性菌しか生み出さんわ!



...いや、処方箋料も生み出すな( 一一)


という感じでなんだか悲しい気持ちになってしまいました。

Posted:2017.01.23 | Category: 医療系のお話

今日はお熱で受診された方のほとんどがインフルエンザの状態です。
流行ってきてますね~(*_*;


先日の話ですが、
『えっ?耳鼻科でもインフルエンザ検査ってできるんですか?』

患者さんに言われてこちらもびっくりしました(*_*;

もちろんできますよ!

 

 

インフルエンザの検査って『痛い』っていうイメージありませんか?
鼻の奥をグリグリされる、あの検査です。

 

その方法について、ちょっとだけ

 鼻用鑷子.jpg

 
この道具、鼻用鑷子(びようせっし)といいます。

つまり、お鼻用のピンセットです。

 


この先の部分が、だいたい大人の鼻の深さと同じくらいになっています。

計ってみると、8cmほどです。

 inhumenbou.jpg

さてさて、インフルエンザの検査でグリグリする綿棒です。


(微妙にピントが合ってませんが(*_*;)

当院で使ってる柔らかいものです。
一般に使われている綿棒と違ってふにゃふにゃです。


検査の時はこの綿棒を鼻の一番奥の『上咽頭』まで入れ込んで粘液を採取します。

つまり、大人だと8㎝程度は綿棒を入れなくてはならないわけです。
もちろん子供だともっと浅くていいわけですが、『上咽頭』に綿棒が当たる手応えで深さは調整します。

 

ちなみに、鼻水で検査する方法もありますが、正確性に欠けるためあまり行っている病院は多くないようです。
ちゃんと綿棒を入れ込む検査と比べて半分程度しか感度がないという報告もあります。

綿棒を2~3cm入れただけだと採取されるのはやはり鼻水だけ。正確性が落ちるのは当然です。

 


つまり綿棒をちゃんと奥まで入れないと正確な結果が出ないわけです。



また、アレルギー性鼻炎がある方などは鼻の中が鼻水でいっぱいですので、その中に突っ込んでもやはり正確性に欠けます。

しっかり鼻を掃除してから検査をすることが必要なのです!

 鼻の中 入口.png


 ちなみにお鼻の中ってこんな感じに入り組んでいます。


 allergy.png


さらにアレルギー性鼻炎だとこんなに粘膜が腫れあがります。鼻水もいっぱいですね~。
(粘膜が水ぶくれのように腫れるのがアレルギー性鼻炎の特徴で、見た目と症状だけでほぼ診断できます。)



こんな中を鼻も見ずに綿棒突っ込んではいけません。鼻の粘膜なんてすぐに傷つきます。

そしてほとんどの人は『鼻中隔湾曲症』といって鼻の真ん中の仕切りが曲がっているので、広い方を選んで隙間に綿棒を入れ込んでいかなくちゃいけません。

 
ちゃんと見ながらやれば痛みも少ないし、鼻血がでることはまずありません。


ついでに、ちょっと前に聞いた話

『〇〇病院でインフルエンザの検査を受けたら鼻に綿棒を突っ込まれたまま待合室で10分以上待たされたんですが、、、』

いやいやいやいや、それはツラすぎるでしょ(・_・;)

周りから見られて恥ずかしいし...周りの患者さんもみんな同じようにされていたらしいですが...

そんな長い時間する必要はないし、異物を10分も突っ込まれてたら鼻水もドパドパ出てさらに正確性が落ちるのでは...

 

結論:インフルエンザ検査を痛くなく正確に受けるためには耳鼻科にどうぞ。

 

というちょっぴり偉そうなお話でした(^^)

Posted:2017.01.19 | Category: お薬の話 医療系のお話

『風邪と言われて他の病院で抗生剤をもらいました』

日々診察をしていて本当によく聞く言葉ですが、この言葉完全に矛盾していることがわかりますか?

 

風邪=ウィルスによる上気道感染症です。

抗生剤=細菌を倒すための薬です。

 

ウィルスと細菌は別物です。効くわけありません。前回説明したように、耐性菌を増やすだけです。
そして抗生剤による副作用の可能性を上げているだけです。

 

 

風邪を治すためのお薬は存在しません。

『風邪のお薬を作れたらノーベル賞もの』といった言い方をされるくらいです。


 

では風邪薬って?

多くはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの抗炎症剤(痛み止め、解熱剤)

それに鼻水を抑えるための抗ヒスタミン薬(アレルギーのお薬)

鼻づまりに効くというお薬には血管収縮薬なんかも入っているようです。

 

つまり症状を抑えているだけです。
風邪が治るのは人間の免疫力によるものです。

 

 

ちょっと話がそれますが、現在流行っている『インフルエンザ』。

言うまでもなく、インフルエンザ『ウィルス』が原因です。


『イナビル』、『リレンザ』、『タミフル』といった抗インフルエンザ薬はウィルスの増殖を防ぎ、症状が悪化しないようにする薬です。

(ラピアクタという点滴の抗インフルエンザ薬もありますが、お薬が飲めないほど重症の方にのみ使うお薬です。)




私は流石に見たことがないですが、世の中にはインフルエンザのお薬と抗生剤を必ずと言っていいほど一緒に処方する医療者がいるそうです。

明らかに細菌感染を合併している場合は同時に処方することもありますが、インフルエンザ全員に処方するのは明らかにやりすぎ。

感染の予防投与にしても本当に必要なのは、なんらかの病気で免疫力が低下して入院している方くらいでしょう。

 

 

 

すべての薬には副作用がある』これは大事なことです。

副作用がゼロの薬は存在しませんので、無駄な薬は飲まないほうが健康的です。

特に抗生剤は副作用が多い部類のお薬です。

抗生剤を過度に頼るよりも、まずは自分の体には免疫力があることを思い出しましょう。

 

 

さて、3回連続で抗生剤について書いてきましたが、いかがだったでしょう。

ネットで検索すれば膨大な情報が得られるこの時代ですから、同じような内容を書かれているサイトもたくさんあり、二番煎じ、三番煎じになるのもわかっているのですが、受診された患者さんのお薬手帳を見ていて、『え~』っと思うことが多すぎて書き始めてみました。

 

 

何も考えずに最初から強いお薬ばかり使えば、治療は簡単です。考える必要がないわけですから。
効果も『一時的には』良いでしょう。


でも特にお子さんについては、長いこれからのことを考えてお薬は使わなくちゃ!

 

モグラVS細菌.png
モグラVS細菌
...モグラって尻尾ありましたよね?

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