たかむら耳鼻咽喉科

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医療系のお話の記事一覧

Posted:2017.07.26 | Category: こどもの病気 医療系のお話 耳

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中耳炎の子の親御さんから『プールは入っていいですか?』



この季節に非常に多い質問です(^-^)



中耳炎があると『絶対にプールはダメ!』という病院もあるようです。
中耳炎の具合によってはプールを控えた方が良い場合があることは事実で、その裁量は医師によって多少違いがあります。



以前にも軽く書いたかもしれませんが、プールに入ることが中耳炎の直接の原因になることはありません。

ただし、それは鼓膜に問題がないことが前提です。



鼓膜は完全防水仕様ですから耳に水が入っても中耳まで到達することはありえないわけです。




ただし、鼓膜切開の後や、鼓膜にチューブを入れたりして鼓膜に穴が開いている場合は別です。

プールのお水が中耳まで入っちゃいますので、耳栓をするなどの対応が必要になります。



また、急性中耳炎でお熱がある場合もプールは控えましょう。
(熱があってもプールに行かせるという親御さんは少ないでしょうが(^-^;)




例えば滲出性中耳炎のお子さんはたくさんいますが、プールに入るのは全く問題ないので、『全然問題ないですよ~』って感じで答えています。



ただし、プールの後に体を冷やしたりしてお鼻の調子が悪くなったりすると中耳炎にも良くないのでその点は注意していただいてます。




子どもからしたら症状もあまり強くない滲出性中耳炎で楽しいプールに行けないなんて悲しいことですから(:_;)




それにプールで運動することで良い面もあります。
『喘息にプールが良い』と言われることがありますが、これは埃の少ない環境で運動することで呼吸器系の機能が鍛えられ気道の過敏性が改善するということで勧められるわけです。



中耳炎の子どもはほとんどアレルギー性鼻炎があったりしてお鼻が悪いので、花粉や埃が多い場所で運動するより、プールで呼吸器系を鍛えたほうが良いはずです。



などなどの理由で中耳炎のお子さんにもプールを許可することがほとんどですが、炎症が強い時期や副鼻腔炎の状態が悪かったりすると数日プールを控えた方が良いことも多々ありますので、ご心配ならプールに行く前に一度受診してください(^^)/

 

Posted:2017.07.24 | Category: 医療系のお話 鼻

前前前回くらいに『嗅覚障害』の新しい治療について書きましたが、それに関連して一つ。



においの検査に『アリナミンテスト』というものがあります。
アリナミン(フルスルチアミン)という注射液を注射し、においを感じるかどうかを見る検査です。




この検査でにおいを感じれば、嗅覚障害は早期に改善することが多いです。(だいたい気導性嗅覚障害)

もちろん、感じなくても絶対に治らないということはないですが、改善に時間がかかったりすることが多いです。(嗅神経性、中枢性嗅覚障害)




『においの相談に来たのに、なんで注射?』
という風に思われる方も多いかと思いますが、ちゃんとした検査なんです(^-^)




ちなみに、この検査に使用するアリナミンという薬。正体はビタミンB1。


そしてこの検査の時に感じる匂いは結構強烈な『ニンニクっぽいにおい』です。
部屋中ににおいが充満してしまうので、しばらく空気清浄機を全開にするくらい強烈。



ちょっと前に流行った『ニンニク注射』というやつの正体もビタミンB1の注射ですね。
『ニンニク注射』という名前ですが、ただのビタミン注射。




アリナミンテストは行うと薬剤、注射器代など全部含めて保険点数45点。つまり自費で行っても450円です。



ニンニク注射で検索してみるとだいたい2000円前後くらいするようで...
ちなみに他のビタミン類をいっしょに点滴してさらに高い点滴なんかもあるようですが、これも薬価は100円くらいです(*_*;




アリナミンの添付文書には効果・効能・作用のところに


食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時など)』



という文言があり、確かに疲れている時には効果があるんでしょうけど、書いてある通り食事から摂取できていれば必要ないわけです。



まぁ1回の注射や点滴で入れられる栄養素なんてたかが知れてますし(*_*;




なんならアリナミンの錠剤はamazonで買えば1か月分で1000円もしないです。
自宅に届いて1か月毎日飲めるんだから、こっちのほうがどう考えてもお得でしょう。



基本的に点滴は口から投与できない水分や薬剤を投与することが目的です。
ビタミン欠乏症なんて普通に食事していればならないはずですから、本当に必要な方はほとんどいないでしょう。




『点滴した!!』という気分で体調が良くなった感じはあるかもしれません。
私もそれは否定しませんが、一番健康的なのはやっぱり普通にバランスの良い生活をすることでしょう(^^)



なんだか嗅覚障害の話からだいぶ逸れてしましましたが、嗅覚が障害されると食事も美味しくないし、ガス漏れの匂いや食べ物の腐った匂いに気付かないなど危険なこともありますので放置せずにちゃんと受診しましょう(^-^)

Posted:2017.07.18 | Category: 医療系のお話 学会 雑談

最近毎週末どこかに出かけておりますが、7月15日、16日は九州連合地方部会といって九州の耳鼻咽喉科が集まる学会に行ってまいりました。

DSC_1644.JPG
1年に1回開催され、毎回どこかの大学が主管を務めます。今回は九州大学。



この学会のメインイベントは初日に行われる『野球大会』。


球場は必ず2面用意し、審判も呼んでなかなかに気合の入った大会です。
土曜日に行われるので、基本的に土日休みの大学病院に勤めているメンバーが出場します。


普段運動していないオジサンたちが多いので、試合内容はへっぽこなことも多いですが、なかなかに熱い闘いを繰り広げます。
某大学は1か月以上前から朝練までします(*_*)



私も一昨年までは出場していました。
ポジションはサード。なぜか一度ピッチャーもやらされました(*_*;

DSC_0083.jpgのサムネイル画像
これが熊本大学耳鼻咽喉科のユニフォーム。熊大だけに『Bears』。


今年は準優勝だったようです。なかなか強豪(^^)



さて、野球大会が終わると夕方からちょっとだけ真面目な講演会があり、その後は懇親会という名の宴会に突入します。



そして次の日の日曜日は二日酔いか野球大会の日焼けか、顔が真っ赤になった人がうじゃうじゃ。



午前中は通常の学会のように発表がいろいろ。
九州のみの学会ですので、ちょっと『身内の発表』という感じで明らかに上から命令されて発表している若手が多いです(*_*;



そして午後からは『補聴器相談医のための講習会』というものがあります。



これを2時間受ければ『補聴器相談医』になれます。そして資格の更新もできます。

日曜日の午後からなので、九州各地からこれを受講する為に開業医が集結。




内容は基本的なものでしたが、改めて知識の確認(*^^)v



しかしタイミングが悪いもので、7月15日、16日とMr.Childrenがヤフオクドームでライブをしていたらしく、ライブ前後の時間帯は博多駅周囲まで渋滞が凄かったです。
帰りの新幹線も満席ギリギリでした(^-^;
ミスチルの人気って根強いですね~

Posted:2017.07.15 | Category: 医療系のお話 学会

昨日7月14日、こんな研究会がありました。
DSC_1642.JPG

診療が終わって急いでメルパルク熊本へ。7時30分開始。ギリギリ(*^^)v



東部小児耳鼻咽喉科疾患研究会ということで、読んで字のごとく熊本東部の小児科と耳鼻咽喉科が集まる勉強会です。
小児科と耳鼻咽喉科の疾患を1回ずつ交代で講師を呼んで講演してもらいます。



今回は耳鼻咽喉科の順番で、『嚥下障害に対する外科的治療の適応と効果』という題名の講演がありました。



講師は特に内視鏡で行う手術で高名な先生で、色々な学会で同様の発表をされていますし、論文もたくさん書かれています。
特に『輪状咽頭筋切除術』という手術を内視鏡で日本では初めて行い、素晴らしい成果を上げています。



内視鏡手術のメリットはなんといっても体への負担が小さいこと
いままでの方法だと首を大きく切開しなくてはならなかった手術が皮膚に一切傷つけずできますので、術後の合併症も少なくなります。




嚥下の問題は常に誤嚥との闘いです。誤嚥(食物や唾液が気管に入る)は肺炎を引き起こし、生命に関わります。



『誤嚥防止手術』という手術もあるのですが、この手術は『喉頭』の機能を犠牲にします。

基本的に声が一生出せなくなるわけです。


昨日の講演でも「嚥下機能改善手術で対応できるのに誤嚥防止術を行われ喉頭を犠牲にしてしまっている方がいる」という話もありました。




私も大学病院時代はしばらく嚥下外来の担当をしていましたが、手術を行うことはあまり多くありませんでした。




食物の形態、食事の姿勢、食後の注意点などを説明して簡単なリハビリテーション指導するだけで改善することは少なくありません。



嚥下の改善にはリハビリテーションが非常に重要です。
手術をしても必ず術後のリハビリテーションは行っていましたし、全ての治療を組み合わせて選択することが重要です。



嚥下も勉強すればするほど奥が深い...


しかしこの研究会、勉強になるのはもちろん、普段なかなか関わりあえない小児科の先生とお話できたり、小児科の知識も得られるので貴重な研究会です(^^)




まぁ耳鼻科医は5人くらいしか参加していませんでしたけどね!

Posted:2017.07.13 | Category: 医療系のお話 鼻

先週参加した耳鼻咽喉科臨床学会から持ち帰った知識をもう一つ。


においがしない、感じにくいという嗅覚障害について。
(当ホームページにも記載しています⇒嗅覚障害のページへ



嗅覚障害は気導性、嗅神経性、中枢性の3つに分けられます。


・気導性
においが『嗅裂』という鼻の中のにおいを感じる箇所へ届かないことによるものです。
原因としては副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など


・嗅神経性
『嗅裂』にある嗅細胞の障害によるものです。
原因としては感冒後の嗅覚障害(ウィルスによるもの)、薬物による嗅覚障害、頭部の外傷によるものなど


・中枢性
中枢神経組織の障害によるものです。簡単に言うと脳の障害ですね。
頭部の外傷や、アルツハイマー病、パーキンソン病などが原因になります。




嗅覚障害の治療としては、ステロイド薬の点鼻というものが古くから盛んに行われてきました。
最近でも盛んに行われている治療ですが、この治療が有効なのは気導性の嗅覚障害だけです。




その次に、ここ数年行われている治療として当帰芍薬散という漢方薬による治療があります。
神経を成長させる働きがあるため、嗅神経性の嗅覚障害に有効です。
この当帰芍薬散はアルツハイマーにも有効とされています。




副鼻腔炎が原因の嗅覚障害は手術が行われることもあります。
特に好酸球性副鼻腔炎と呼ばれる特殊な副鼻腔炎は嗅覚障害を引き起こしやすく、手術しても再発することが多いやっかいな病気です。


そして、嗅覚障害に対する手術では、嗅裂をしっかり広げることが重要になるのですが、狭く、出血しやすく、術後に癒着しやすいので、慎重に行わなくてはなりません。


手術の際のテクニックも色々勉強しましたが、好酸球性副鼻腔炎でも内服薬などを上手に使えばコントロールできることも多々ありますので、副鼻腔炎だからとすぐに手術するのも問題です。



『手術をしたのに良くならない』などという相談もよく受けますし(*_*;
いきなり手術を勧める病院にはご注意を。


普通であれば最低2~3か月はお薬で治療して、改善が全然なければ手術を検討するというのが自然な流れでしょう。




そして、最近話題の治療として、『嗅覚刺激療法』というものがあります。
強めのにおいを繰り返し嗅ぐことによって神経を刺激し、回復を促すという治療です。
つまりリハビリテーションのような感じです。


神経性や外傷による嗅覚障害にも有効という報告が海外ですでに出ており、日本でも少しずつ行っている施設が出てきています。


ただし嗅ぐにおいは変化しない、無害なにおいでなくてはなりません。
また、海外で報告されたものは日本人には馴染みの浅いにおいばかりで、日本人に合うにおいが現在検討されています。


簡単に自宅でも可能な治療なので、今後に期待です!!

DSC_1620.JPG
学会中から一枚。
ポスター発表というやつで、発表内容が書かれたポスターが貼ってあり、3分で内容を説明し、3分で討論します。


耳鼻咽喉科臨床学会はこの発表がメインなので、300枚くらいこんなポスターが貼ってあります(*_*;

Posted:2017.07.10 | Category: 医療系のお話 学会

まだすっきりしない天気が続いています。
曇っていても気温が高いと熱中症になることもありますので、水分補給にも気を付けましょう。



前回耳鼻咽喉科臨床学会について書きましたが、その内容についてひとつ。

臨床学会は耳、鼻、のどなど耳鼻咽喉科の領域であれば何でもありな学会なのですが、今回目立ったのがOSAについてのお話。



OSA(Obstructive Sleep Apnea)とは閉塞性睡眠時無呼吸という意味です。


睡眠時無呼吸症候群はOSAとCSA(中枢性睡眠時無呼吸)に分けられ、ほとんどはOSAです。



当ホームページ内でも解説していますので、どうぞご覧ください。
(⇒睡眠時無呼吸のページへ



OSAの患者は本邦で300万人以上いると言われています。

脳血管障害(脳梗塞など)、心不全、糖尿病などのリスクが上昇することは広く知られていますし、最近では認知量のリスクが2倍になり、10歳ほど差がでるというデータもあります。



OSAの治療はCPAP、手術、マウスピースなど。

治療の中心となっているのはCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)であり、そのために通院しているのは40万人程度。


まだまだ未治療の方、未受診の方が多いということですね。



また、特に手術について

鼻づまりがあっていびき・無呼吸がある方には鼻の手術が選択肢となります。
また、口蓋垂(のどちんこ)が長かったり、扁桃腺が大きかったりするとのどの手術が選択肢となります。




しかし、いびき・無呼吸に対して手術を行っても効果が十分得られないことが度々あり、『手術適応は慎重に考えるべき』という話が多くありました。



逆に、単に無呼吸があるからとCPAPを導入され、効果が乏しいということで改めて検査をすると鼻が悪かったりすることもあるようで、やはり治療を決める前にしっかり検査をすることが必要です。



具体的には、鼻からのどまで狭くなっている箇所がないか、内視鏡で検査することは必須でしょう。



単にCPAPと言っても、最近は機器の進歩も目覚ましく、毎日の睡眠のデータをオンラインで管理することが可能となり保険導入の始まった遠隔医療についても期待が高まっています。



また、無呼吸があっても鼻の内服治療や、日常生活の改善(ダイエット、禁酒など)によってCPAPまで使用しなくてよいことも多々ありますので、まずは一度受診しましょう(^^)


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下関から帰るときに少しだけ寄れた唐戸市場。
大雨で漁ができなかったせいか、生のお魚などは全然いませんでした(*_*;

Posted:2017.07.08 | Category: 医療系のお話 学会

告知していました通り、7月6、7日と山口県で耳鼻咽喉科臨床学会に参加してきました。

こちらも酷い大雨だったようですが、山口でも2日間通してほぼ雨。



ほぼ学会場内にいたのであまり影響はないのですが、学会中にスマホから警報音がちょこちょこと鳴ってました( 一一)



会場は山口県下関市海峡メッセ
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会場横には『海峡ゆめタワー』
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全長153mと、結構高い。


時間が空いた隙に上ってみると...

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タイミングよく少し晴れ間が見え、関門海峡がばっちり見えました。



少し方向を変えると
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中央に見える小さな島がいわゆる『巌流島』。正式名称『舟島』。
宮本武蔵と佐々木小次郎が戦ったとされる島ですね。




さて、学会前から聞きたいと思っていた

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特別講演
"「酒屋万流」今、日本酒が面白い。水害からの復旧..."
澄川隆俊(株式会社 澄川酒造所)
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ばっちり聞いてきました。



最近の日本酒の動向
水害直後から現在まで
なぜ日本酒には山田錦を使うのか




などなど、非常に面白いお話を聞いた後は...

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ズラッ!!

まだ学会中なのに、会場に大量のお酒が!!



澄川酒造の『東洋美人』!!!

去年ロシアのプーチン大統領が訪日された時に振舞われたお酒で、合同記者会見でプーチン大統領が一言目に絶賛し、話題となりました。



おかげで大ブームとなり、入手困難な状態が続いていました。



私も初めて頂きましたが...これは美味い!!!!
まさに雑味のない味。そして後味が最高です。

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つまみとして竹輪とかまぼこも大量に振舞われました。


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酔っ払い集団 ←            →真面目に勉強している方々          


日本でこんな学会なかなかないですな(^-^;



勉強もガッチリしてきましたので、次回から最新の治療法など紹介していきます(*^^)v

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