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医療系のお話の記事一覧
Posted:2017.09.25 | Category: 医療系のお話
かなり久々の更新になっちゃいましたm(__)m
気付けば9月も最後の週になり、私もまた1つ年をとりました( 一一)
誕生日を喜ぶ年でもなくなりましたが(?)、友人達から祝ってもらい久々に結構酔っ払っていい気分でした(#^.^#)
といった雑談は置いといて、、、
最近読んだ医療雑誌からの話題で、題名の話。
アメリカで行われた『Choosing Wisely(賢い選択)』キャンペーンというものに各学会が賛同し、"推奨されない検査"をリストにしています。
それが世界的に広がっており、日本でも広がってきているそうです。
かなり膨大な数の検査がリストアップされていますが、例えば米国耳鼻咽喉科学会からは
・急性副鼻腔炎は軽症ならば画像検査は不要
・突発性難聴で頭部・脳のCT検査は不要
といったものが"推奨されない検査"とされています。
まぁ普通に行わない検査ですね。
世の中には副鼻腔炎の症状の患者さんに対してほとんどCT検査をして、誰にでも手術を勧めるような耳鼻科もありますが、それは完全に"推奨されない検査"であり、"推奨されない手術"です。
というよりひどい話です|д゚)
まぁ置いといて、そのほかいくつか例を挙げると
・PETやCTなどによる癌検診は控える
・単回の失神で脳のCTやMRI検査は不要
・重症ではない喘息や気管支炎で胸部X線検査は行わない
・前立腺がんのスクリーニングの為に安易にPSA検査をしない
などなどなど、たっくさんリストアップされています。
まぁ日本とアメリカとでは微妙に状況が違うと思いますが、1年ほど前に日本でも『Choosing Wisely Japan』という団体が発足しています。
医療費がどんどん増え続けているのはニュースなどでもよく取り上げられています。
無駄な検査を行わないことは医療費の削減に勿論貢献するのですが、検査による有害事象も減らすことができます。
無駄にX線検査やCT検査を行うことは放射線被ばくを増やし、患者さんにとって不利益を生みます。
ただし、検査が本当に必要かの見極めが難しいことってどうしてもあるんですよね~
なんも考えずに検査すれば楽なんでしょうけど。
いらない検査、いらない薬、いらない治療
どれも完全になくすのは本当に難しい話だとは思います( 一一)
やはり今月からアレルギー性鼻炎の状態が悪くなる人が多いですね。
そこでアレルギー性鼻炎関連の最近発見した論文から。
台湾からの論文なのですが、小児のアレルギー性鼻炎が虫歯(う蝕)を起こす頻度と関連しているか調べています。
9000人以上の子どもを対象に調べたところ、結論はアレルギー性鼻炎持ちの子どもは虫歯で病院を受診する頻度も多く、アレルギー性鼻炎が虫歯の発生と関連していると考えられました。
この結果自体は予測できたもので、アレルギー性鼻炎があるとどうしても口呼吸が多くなってしまいます。それによって口の中が乾燥してしまうわけです。
唾液には口の中をきれいにする作用がありますので、唾液が減ると虫歯や歯周病になりやすくなります。
シェーグレン症候群という唾液が減ってしまう病気がありますが、その病気でも虫歯は代表的な症状のひとつです。
さらに口がずっと開いている状態になると、歯並び、嚙み合わせが悪くなりやすいとも言われます。小さな子どもが寝ている時に口呼吸していたり、ずっと口が開いているような状態には注意しましょう。
大人でも口呼吸は鼻呼吸と比べて前頭葉の酸素消費量が多くなり慢性的な疲労感や集中力の低下を来すとも言われます。
当院のホームページ内のアレルギー性鼻炎の箇所でも書いてますが、アレルギー性鼻炎によって作業効率が下がるなどの影響は非常に大きいのです。
(⇒アレルギー性鼻炎のページ)
まぁ普通に考えてスポーツしたり勉強しているときに鼻がつまっているとパフォーマンスに影響しますよね(^-^;
大人も子どもも鼻づまりを甘く見ちゃダメ(*^^)
日本耳鼻咽喉科学会の初の全国調査によって2015、2016年の2年間で"おたふくかぜ"の合併症で難聴になった人が少なくとも336人いることがわかったと発表されました。
"おたふくかぜ"と言えば典型的には"耳下腺"といって耳の前~下にある組織が腫れあがる病気です。
痛みや発熱が主な症状ですが、合併症として難聴の他、髄膜炎を起こすこともあります。
この難聴は"ムンプス難聴"とも言いますが、残念なことにほとんど治りません。しかも重度の難聴の割合が多く、その後の生活に大きな影響を及ぼします。
両側の重度難聴を起こすこともあり、その場合は有効な治療は人工内耳の埋め込みくらいしかありません。
おたふくかぜはムンプスウィルスという"ウィルス"が原因ですので、抗生剤を使っても意味がありませんし、自然に治るのを待つしかありません。
しかし、その予防法として"ワクチン"の接種があります。
現在日本ではおたふくかぜワクチンは任意接種となっています。つまり『受けたいならどうぞ』っていう感じ。
アメリカやヨーロッパを含め、日本以外の先進諸国ではほとんど定期接種です。もちろん患者数は日本と比べてめちゃ少ないと報告されています。
日本も以前はMMRワクチンといって麻疹、水痘、おたふくかぜのワクチンが定期接種で行われていました。しかし、髄膜炎の副作用を起こす頻度が高いということで任意接種になったわけですが、その結果30~40%しか予防接種を受けていません。
今回の報告では2年間で336人となっていますが、実際にはもっと多いと思われます。
小さな子どもの難聴は気付かれずに放置されることもあり、最終的に原因不明となることもあるし、もともと届け出が必要な病気でもありませんので。
日本では流行する年には100万人以上、少ない年でも40万人程度はおたふくかぜにかかっています。
難聴を起こす頻度については色々報告がありますが、概ね0.01%~0.1%という感じ。
年間100万人のおたふくかぜ患者さんがいれば、100人~1000人が重い難聴の合併症を起こすことになります。幅が広すぎてピンときませんが(^-^;
兎に角、日本耳鼻咽喉科学会の発表も結論としては
『先進国で定期接種でないのは日本だけだ、急に何も聞こえなくなって一生後遺症に苦しむ現実がある』
としてワクチン接種を勧めています。
一番はまたワクチンが定期接種になることが望ましいと思いますけどね(^^)
Posted:2017.08.30 | Category: 医療系のお話
もう9月になりますね~、早いもんです。
さて、ちょっと面白いニュースを目にしました。
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「そのくらいの傷なら唾を塗っておけば治る」は本当だった?!ヒトの唾液に多く含まれるペプチドであるヒスタチン1やヒトの唾液をニワトリやヒトの培養細胞に添加すると、内皮細胞の接着や遊走、血管新生を促進するとの実験結果が報告された。米国実験生物学会連合がFASEB Journalの掲載論文を紹介した。
口腔内の創傷の治癒が他の部位に比べ、早いことが知られており、唾液が創傷治癒メカニズムの一部を担うと推定されてきたが、詳しい機序は分かっていない。
研究グループは今回、ニワトリやヒトの培養細胞を用いた実験で、唾液に含まれるヒスタチン1や唾液が内皮細胞の接着や血管新生の促進など創傷治癒に関わる作用を持つことを証明した。FASEB Journal編集長は「この検討により創傷治療がさらに進化するかもしれない」と評価。「動物や子供が傷を舐める行為に潜む意義を思い出させてくれた」と述べている。
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昔は怪我をすると消毒薬をつけて、ガーゼを当てて乾かす、というのが当たり前でした。
"赤チン"なんてのもありましたね。私も子どもの頃には良く塗られました(^-^;
しかし、結構前から"傷は消毒しない"というのが医療現場でもほぼ常識です。
消毒液が逆に組織を傷害し、傷の治りを悪くします。
傷に消毒液をつけると染みて痛みがありますが、まさにあれは傷をさらに痛めつけているということ。
傷はなによりも"洗う"ということが重要です。
水道水で構いません。どんどん洗うことが大事なんです。
例えば頭を切ったり、足を切ったりして病院を受診するとまず生理食塩水でじゃばじゃば洗われると思います。それが正しいんです。
そしてガーゼを当てる(乾燥させる)のも良くありません。
ガーゼを当てるとしても、直接ではなく軟膏などを塗ってから当てることが必要です。
ちょっと前からドラッグストアでもシート状の被覆材が売っています。
防水性能の被覆材で覆うことで傷口から染み出る"浸出液"が溜まります。
その"浸出液"が傷を治す為に重要なのです。
舐めときゃ治る、は言い過ぎですが、人間の免疫力に頼るということは重要ですね(^^)
もちろん、血がどんどん出たり、ぱっくり開いているような傷は舐めないで病院受診してくださいm(__)m
昨日8月22日は診療終了後に熊本赤十字病院へ。
こんな会がありました。
日赤の小児科の先生が色々な患者さんの経過を発表し、その疾患について勉強する会です。
元職場ということもあり、会場に到着すると知った顔がチラホラ(^-^)
まぁまぁ広い会議室が満員になるほどでしたが、耳鼻科医の顔は見えず。
小児科の先生を中心に招待されているようですが、当院にも招待があったということは耳鼻咽喉科も招待されているハズなんですけどね(*_*;
そして日赤の小児科以外の先生が多く参加している。素晴らしい。
さて、昨日は下の疾患についてのお話がありました。
①Stevens- Johnson症候群
発熱、咽頭痛から全身の皮膚、粘膜に紅斑や水疱を形成して"ただれた"ようになる病気。
原因は解熱鎮痛剤や抗生剤による薬剤性が多く、薬疹の重篤なものと思われることも多いのですが、マイコプラズマやヘルペスの感染によっても起こります。死亡率も3%と高い病気です。
②腸管出血性大腸菌による溶血性尿毒症症候群
O157で有名な腸管出血性大腸菌ですが、その大腸菌が出すベロ毒素というものが腎臓にダメージを与え、赤血球を溶かしてしまい急性腎不全を起こすことがあります。
腹痛、血便、血尿、貧血などの症状を起こし、重症では透析を要することもあります。
特に夏場に多く、ニュースでも時々報道されます。
最近もポテトサラダからの感染が話題になりました。
③再生不良性貧血
骨髄の機能が低下することによって、白血球、赤血球、血小板が減少してしまう病気。
症状として倦怠感や動悸、紫斑(皮下出血)が挙げられます。免疫抑制剤を中心とする治療や重症では骨髄移植も要することがあります。
④注意すべき腹痛 特に腸重積
小児の腹痛で多いのは、便秘や胃腸炎。
そして注意すべき腹痛として虫垂炎(盲腸)や腸重積があります。
腸重積は小腸が大腸の中に入り込んでしまって、中が通らなくなる"腸閉塞"を引き起こしてしまう病気です。
症状はもちろん腹痛を起こすのですが、症状に波があるのが特徴と言われています。他、血便や嘔吐など。
浣腸で圧をかけることで入り込んだ腸を戻す治療もありますが、入り込んでしまった腸が締め付けられることで血流がなくなり壊死してしまったり、腸が破けて腹膜炎を起こしている場合などは手術が必要です。
どの病気も医師であれば知っているのが当たり前なんですが、やはり実際の症例を見せられると怖い病気ばかり。
耳鼻科が関連することは多くない病気ですが、時にはこういった勉強会で知識に刺激を与えるのは重要ですね(^-^)
都議会で受動喫煙防止案が提出されることが話題になっていますが、タバコと中耳炎の関係はあまり知られていないかもしれません。
まぁわざわざ書くくらいですから、きっと悪い影響があるというのは想像できるでしょうが(*_*;
子どもの中耳炎について特に両親の喫煙が悪影響を及ぼすというのは耳鼻科医ではまぁまぁ知られた話。
受動喫煙が話題になっているので、ちょっと論文を読んでみました。
受動喫煙は喘息などの呼吸器に対して悪い影響があるのはもちろんです。
そして子どもが中耳炎になりやすくなるし、治りにくくなるとされています。
両親の喫煙はもちろん、父母以外の他者の喫煙の影響も大きいようです。
その主な原因は"耳管機能不全"です。
"耳管"とは耳と鼻をつなぐ管のことですが、タバコの煙に含まれる有害物質が粘膜を腫れさせたり、粘膜の繊毛運動を低下させることが中耳炎の原因になるとされています。
この図の中耳から伸びている管です。鼻の奥までつながっています。
また、耳管の鼻側の出口にあるアデノイドも肥大しやすくなることで、さらに耳管の通りを悪くします。
タバコの煙はアレルギー性鼻炎の子どもにも悪影響なので、せめて子どもの前での喫煙は控えましょう(^-^)
ちなみに、中耳炎のリスクを上げるものとして、以下のように本当にたくさんのものがあります(^-^;
直接的原因
・強い鼻かみ・両側同時の鼻かみ・鼻閉・鼻閉時の嚥下・嘔吐・授乳時の姿勢・おしゃぶり・寝相(うつ伏せ)・逆流性食道炎・鼻すすり癖・咳・風呂でもぐる・鼻をつまんだくしゃみ・無理な耳抜き・飛行機に乗った後・啼泣・スイミング(飛び込み、もぐり、クイックターン)
間接的要因
・短期間の母乳栄養・気候、季節・受動喫煙・低年齢児集団保育・兄弟の通園・家庭内(兄弟からの感染)・低年齢(2歳未満)・未熟児、男児・遺伝的要因・免疫異常・頭蓋顔面奇形・口蓋裂児・ダウン症・耳管機能不全・抗菌薬の前投与・乳突蜂巣の発育不良・中耳炎の既往・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎・アデノイド増殖症・聞き分けのない子(治療拒否、内服拒否)
ホントにたくさんあります(^-^;
どうしようもない項目もありますが、周りが努力すれば中耳炎になりにくくなる、もしくは治りやすくなることもありますので、中耳炎のお子さんで悩まれている方はもう一度生活から見直してみましょう(^-^)
正しい鼻のかみ方を早く教えてあげることも非常に重要ですよ!!
昨日は診療終了後にサノフィという製薬会社へ。
以前にも一度ありましたが、サノフィ社内の勉強会の講師としてお呼ばれしました。
(前回はキョーリン製薬でした⇒その時の記事)
サノフィといえば、耳鼻科関係では『アレグラ』、『ディレグラ』。
『アレグラ』は最近ではOTC(一般用医薬品)となって薬局でも買えるようになりました。
ただし『アレグラ』は眠気の少ないアレルギー薬として一時期流行りましたが、効果は強くないので強いアレルギーの方にはあまり使えません。
このグラフは以前にも出しましたが、私の個人的な印象です。
『デザレックス』、『ビラノア』という眠気の少ない新薬が登場しましたので、やはりアレグラの出番はさらに減ってしまうでしょう。
もうひとつのサノフィの『ディレグラ』というお薬はアレグラの成分に血管を収縮させる成分を配合したお薬です。
アレルギー性鼻炎で鼻閉(鼻づまり)が強い方には非常に良く効きます。さらに眠気もないのですが、時々逆に目が冴えて眠れないということがあります。
というわけで、アレルギー関係の話が良いだろうと考え、講演のテーマは『アレルギー性鼻炎の影響とその関連疾患』。
アレルギー性鼻炎と関連付けて
・嗅覚障害
・睡眠時無呼吸症候群
・喘息
などについて最新の話題も含めて30~40分くらいお話ししました。
その後質疑応答まで行い、最後に記念撮影。
なんかスライドの色に照らされて変な顔色になっちゃってますが(^-^;
九州全域から皆さん集まられたとのことで、お疲れさまでした。
たまにこういう講演すると自分への刺激になるし、知識の再確認になって良いですね(^^)
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