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医療系のお話の記事一覧
Posted:2017.12.15 | Category: 医療系のお話
先日、なんとなく観たニュースで「寒暖差アレルギー」について解説していました。
ちらっとしか観てないのでどんな内容だったかはわかりませんが(^-^;
寒暖差アレルギーというのは暖かいところから寒いところ、寒いところから暖かいところと気温差によって鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状がでます。
正式には「血管運動性鼻炎」とも呼ばれます。
気温の変化という刺激がまさにアレルギー性鼻炎のような症状を起こすわけです。
もともとアレルギー性鼻炎を持っている方が起こしやすいという報告も多く、アレルギー性鼻炎が季節の変わり目に悪くなりやすいというのは血管運動性鼻炎を合併しているからという考え方もできます。
この血管運動性鼻炎については自律神経のバランスが関わっているという話もあります。
寒暖差が激しいと自律神経のバランスが崩れて鼻が過敏になるというわけですね。
治療については基本的に通常のアレルギー性鼻炎のように治療します。
ただし、内服薬だけでは効果が薄いこともあり、点鼻薬を使用するのが重要です。
アレルギー性鼻炎と同様に、一番の治療は原因の除去ですが、寒暖差をなくすのはなかなか難しい(^-^;
ここ数日すごく寒いので、もちろんお出かけの際は暖かい服装でどうぞ(^^)/
Posted:2017.12.11 | Category: 医療系のお話
急な予定ですが...
12月13日(水)は院長不在になります。
診療は通常通り9:00~12:30です。
お待たせする時間が長めになるかもしれませんが、どうぞご了承くださいm(__)m
さて、インフルエンザがどんどん流行ってます。
インフルエンザの感染予防としては、手洗い、うがい、マスクの着用というのが一般的かと思います。
さて、この3つ。
ホントに効果があるんでしょうか?
『インフルエンザ 予防』などで検索すると色んなサイトが出てきますが、手洗いうがいを推奨しているサイトもあれば、全く効果なしと言い切っているサイトまで様々(^-^;
いろいろ論文も含めて読んでみて、自分なりにまとめてみました。
◎手洗い
インフルエンザ予防効果はありそう。
インフルエンザは感染者が触ったものにウィルスが付着して、それを触ることでうつることがありますので(接触感染)、特に外出後などにしっかり正しく手洗いは重要でしょう。
ただ、ドアノブや電車のつり革などたくさんの人が触る場所を触る度に手洗いするというのは現実的には難しい(-_-;)
◎うがい
インフルエンザ予防効果は薄そう。
普通の風邪(上気道感染症)の予防については効果があるようです。
とある有名な研究で、『水うがい』『イソジンうがい』『うがいしない』を比較すると、『水うがい』が最も風邪の予防には有効だったという結果がでました。
ただし、インフルエンザについてはうがいをしてもしなくても結果に差はでなかったようです。
よってインフルエンザ予防になるという証拠はありませんが、風邪予防にはなるので、水うがいは推奨です。
◎マスク着用
これもインフルエンザ予防にはならないという意見が多いようです。
基本的にインフルエンザウィルスは非常に小さいので普通のマスクでは隙間からウィルスが入ってしまいます。
感染者がくしゃみや咳をして飛んでくる飛沫を直接口や鼻に吸い込むことは防げますが、マスクの表面についたウィルスを手で触ると手にウィルスがつくので、その手で口の周りを触ると接触感染になります。
ただ、インフルエンザにかかってしまった方が周りにウィルスを広げてしまうことを少しでも防ぐために、感染者がマスクを着用することは推奨です。
◎結論
手洗いもマスクもうがいもインフルエンザを『完全には』防ぐことはできません。
なんだか当たり前の結論になってしまいましたが(-_-;)
一番はやっぱり流行時期に人混みに行かないことかも...とは言っても学校や職場に行かないわけにはいかないし(^-^;
ちゃんとワクチンを打って、なるべく感染しないように予防をして、それでもインフルエンザのような症状が出たら、ちゃんと診断・治療を受けて周りにうつさないようにすることですね(^-^)
Posted:2017.12.06 | Category: 医療系のお話
すでにニュースなどでインフルエンザの流行が報道されております。
当院でも少しずつ検査で陽性が出る方が増え始めてますが、聞いた話だととある保育園は閉鎖にまでなっているとか(*_*;
保育園が閉鎖になると、インフルエンザにかかってないお子さんも預けられないわけですから、ご両親は大変。
インフルエンザの流行はまだまだこれからですが、早く終息してほしいものです。
それでなくても本格的に寒くなって扁桃炎や中耳炎や鼻炎も増えてますので、皆さん体調には十分気をつけてください。
インフルエンザの典型的な症状は発熱、頭痛、関節痛、倦怠感などで、咽頭痛や鼻水が増えることもあります。
しかし、症状が典型的じゃないことはたくさんありますので、熱が微熱程度だからといって検査をせずに周りにうつしてしまわないようにしましょう。
ちなみにインフルエンザの検査について以前に書きました。
(⇒2017年1月23日の記事『インフルエンザ検査のやり方』)
インフルエンザは鼻の奥をグリグリする検査が基本。
しかし、のどを見ただけで診断できる可能性があることは以前から言われております。
普通の風邪をひいたときでも咽頭後壁(のどの口を開けて見える部分)にポツポツと腫れがでることがあります。
インフルエンザの時は特にイクラのような感じの丸いポツポツがでていることが多いのです。
(インフルエンザ濾胞と呼ばれます)
インフルエンザの検査は発熱から6~8時間程度経過しないと検査の精度が低くなることは有名。
もちろん、2~3時間しか経過してなくても検査で陽性がでることはよくあるのですが、こののどのポツポツは感染初期からでることもあり、診断の助けとなります。
とある報告では鼻グリグリの検査よりも感度が高いという話もあります。
それだけでインフルエンザと診断を確定することはできませんが、熱が高くなかったり、インフルエンザの典型的な症状がないときに検査を行うかどうかの検討材料になるわけですね。
...結局鼻グリグリされるんかい!!
なるべく痛くないようにしますんで(-_-;)
12月2日(土)は夕方から地方部会という熊本の耳鼻科医の集まり。
毎回何題か色々な講演があるお勉強会です。
席が一番前しか空いておらず、この距離でお勉強。
今回は会場がほぼ満席になるくらい多くの耳鼻科医が集まりました。
(この会は専門医の単位がもらえるからね(^-^;)
今回の講演は2題。
『医療安全』についてと、『最新の難聴治療』について。
医療安全については、様々な医療事故、医療ミスについて、どのように防ぐのか、そして起こってしまった時にはどのように対応するのかというお話でした。
特に大学病院などの大きな病院になると、組織の全体を管理しなくてはならないので大変。
事故やミスというのは完全になくすことはできませんが、限りなくゼロに近づけるための個人個人の努力、組織づくりが必要です。
実際に熊本大学で医療安全を担当している先生のお話で、実際の現場から非常に熱く語られ、勉強になりました。
難聴の治療については、3つのテーマで講演がありました。
・手術による治療、特に真珠腫性中耳炎に対する内視鏡での治療
この治療については、以前に書いてますのでよければそちらをご覧ください(^-^)
(⇒2017年3月23日『耳手術の新しい波』)
・遺伝性難聴の診断・治療
生まれた時から聞こえが悪い先天性難聴は1000人に1人と言われ、その半分は遺伝的な原因があるとされています。
Pendred症候群という遺伝性難聴のなかでも2番目に頻度の多い病気がありますが、最近慶応大学でiPS細胞を使った研究が行われ、新しい治療法が開発されています。
遺伝性難聴は基本的に治療が困難なのですが、実用化されれば本当に画期的ですね(^^)
・人工聴覚器
補聴器から人工内耳、残存聴力活用型人工内耳、骨導インプラント、人工中耳などなど...
難聴の治療のために使われる機器はどんどん進化しています。
そんななか、一番面白かったのがこれ。
『Sound bite』というものらしいです。
耳の後ろに補聴器のようなマイクをつけて、そこで拾った音を歯につけた機械に転送。
歯から骨を通して(骨伝導)、音を感じる仕組みのようです。
取り外しも簡単にできるようで、なにより手術も不要。
残念ながら日本ではまだ未承認のようですが、凄い発想ですね~(^^)
11月21日(水)は日赤で勉強会。
前回は8月にもありました。
(⇒8月23日の記事『日赤で小児科勉強会』)
ちょっと早く着きすぎてガラガラですが(^-^;
始まるころには満員御礼状態。
...やっぱり小児科の先生ばっかりですが(-_-;)
今回の題材は
『誤飲・誤嚥』
『特発性血小板減少性紫斑病』
『QT延長症候群』
『乳幼児股関節炎』
特に耳鼻科医が関わることが多いのは『誤飲・誤嚥』でしょう。
誤飲は誤って飲んだものが胃や食道などの消化器にある場合。
誤嚥は飲んだものが気管や気管支などの呼吸器系にある場合です。
今回の発表では誤飲は磁石を飲み込んでしまった患児。
磁石を飲み込んでしまった場合、問題になるのが2個以上飲んだ場合。
特に時間差で飲んでしまうと、危険です。
例えば2個飲み込んで、1個は腸、もう1個は胃にあったりすると、胃や腸の壁を挟み込んでくっついてしまうことがあります。
そうなると動かなくなってしまい、胃や腸の壁を圧迫して穴が開くことすらあるわけです。
誤嚥の方の発表はピーナッツの誤嚥でした。
子どもの誤嚥の原因で非常に多いのが、ピーナッツを含む豆類です。
しかも、豆類は誤って飲み込むというより、食事として与えられ結果的に誤嚥してしまうことも多いようです。
誤嚥で多いのは3歳以下の事が多いので、ピーナッツを含む豆類はなるべく与えないようにすることも大事。
軽く考えてしまいそうですが、今回発表のあった磁石もピーナッツも両方とも全身麻酔して手術が必要となってます。
原因となるものは他に、コイン、ボタン電池、ビー玉、ビニールなどなど
子どもは口だけでなく、鼻の穴や耳の穴にも色んなものを入れちゃいます。
小さな石、BB弾、小さなおもちゃなどなど。
そして自分で言わないことも多いので、大人が気付かないことも多くなります。
前におもちゃの車のタイヤを鼻に詰めた子どもが受診したことがありましたが、ただの鼻づまりで受診されました。
当院に来る前に一度病院を受診し、薬を出されたけど改善しないということでしたが...(-_-;)
しかも、前に受診したのは耳鼻科だってのが驚き。
鼻の中を見ればすぐわかるのに...鼻の中すら見ずに薬を出す耳鼻科医もいるんです...|д゚)
話が逸れましたが、子どもの手が届くところに口や耳や鼻に入れそうなものは置かないようにしましょう(^-^)
Posted:2017.11.20 | Category: 医療系のお話
11月18日(土)は夕方から勉強会。
題名のEMR会という会なんですが、正式名称は『鼻アレルギー疾患治療学術講演会』。
毎回いろんなテーマで高名な先生が講演します。
今回のテーマは『長引く咳から診たアレルギー性鼻炎治療の最前線』
このブログでもアレルギーと咳の関係は以前に詳しく書きましたが、非常に重要。
(⇒2016年6月17日の記事『せきの原因 (2)喉頭アレルギー(咳喘息・アトピー咳嗽)』)
講演されたのは呼吸器内科の先生でしたが、アレルギー性鼻炎の治療もしっかりとされております。
そしてアレルギー性鼻炎の治療だけで良くなる咳が多いことを力説されてました。
これには大賛成です(^^)/
その先生の診断の仕方として、長引く咳についてまずは
・感染によるもの(マイコプラズマ、百日咳など)
・アレルギー関連(咳喘息など)
・その他
このように分類することが大事とのこと。
なんでもかんでも咳止め使えばいいってもんじゃありません。
中でもアレルギー関連では
・咳喘息
・咳喘息+アレルギー性鼻炎
・アレルギー性鼻炎による咳
このように分けて治療を考えてられていました。
そして咳喘息には吸入薬。
アレルギー性鼻炎には点鼻薬が大事。
話もわかりやすく、改めて勉強になりました(^-^)
今回はまぁまぁ参加者も多かったけど、それでも20人くらい...まぁいつものメンバーって感じですな(-_-;)
...40代全然おらず。
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11月11日(土) 日本耳鼻咽喉科学会専門医講習会参加の為、副院長不在です。
診療時間等は通常通りです。
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(今日の治療薬2017より)
さて、前回の記事ではペリアクチン、ポララミン、アタラックスなどの第1世代抗ヒスタミン薬を使用しない理由を書きました。
(⇒前回の記事『ペリアクチン、ポララミン、アタラックス』)
最後に『最近は鼻水の症状に抗ヒスタミン薬(アレルギーの薬)を使用しない医師が増えている』という風に書きましたが、その理由について。
理由は簡単で、抗ヒスタミン薬を使用することによって、鼻水が粘っこくなってしまうということです。
なぜ鼻水が粘っこくなってしまうかというと、抗ヒスタミン薬による抗コリン作用が原因と言われています。
前回の記事でもちらっと書いてますが、抗ヒスタミン薬には『口が乾く、頻脈、尿閉』といった抗コリン作用と言われる副作用があります。
鼻水が粘っこくなってしまうと、特に鼻を自分で出せないお子さんはどんどん鼻水が溜まってしまい、副鼻腔炎になってしまう...という理由ですね。
た・だ・し|д゚)
この抗コリン作用、最近の抗ヒスタミン薬ではかなり軽減されています。
それこそペリアクチンやポララミンなどの第1世代抗ヒスタミン薬は強力な抗コリン作用があり、前立腺肥大症や緑内障の患者さんには基本的に使用禁忌となっています。
なので、ちゃんと新しい副作用の少ないお薬を使用すれば問題ないというのが私の考え。
そもそもアレルギー性鼻炎のお子さんが副鼻腔炎になりやすいのはアレルギーによって粘膜が腫れて鼻水が奥に溜まってしまうのが大きな原因ですので、抗ヒスタミン薬はしっかり使わなきゃでしょう。
ここで1つ発見した論文より
アレルギー性鼻炎がある慢性副鼻腔炎の患者さんに治療方法を以下の2つに分けて検討。
・抗ヒスタミン薬のみ
・抗ヒスタミン薬+クラリスロマイシン(抗生剤)
結果:治療成績に差は認めず。
ただし、膿がたくさん溜まっているような高度の副鼻腔炎の場合はクラリスロマイシンを併用したほうが成績が良い。
この論文は成人のみですが、軽い副鼻腔炎ならアレルギーの治療をしただけで治っちゃうわけです。
というよりアレルギー性鼻炎がある副鼻腔炎では抗ヒスタミン薬を併用することが大事。
お子さんでも軽い副鼻腔炎なら私も抗生剤は使用しません。
もちろん、もともとアレルギー性鼻炎がなくて、どろどろの鼻水(所謂あおっぱな)が出ているような時に抗ヒスタミン薬を使っても効果はないでしょう。
特に第1世代抗ヒスタミン薬なんか使ったら副作用だけで逆効果なんてこともあり得ます(*_*;
『効果が出るのが早い』というのメリットはあるので、症状が強い時にサッと使うという方法はありだと思います。
実際私もそういう方法で頓服で使ってます。
ちなみになぜ古い薬を未だに使うのか、先日製薬会社の人にも聞いてみましたが、やはりよくわからないという回答でした。う~ん(-_-;)
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