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医療系のお話の記事一覧
冬になり寒くなると子どもはよく鼻水を出します。
(もちろん大人もありますが)
その原因は様々で、風邪をひいていることもあるでしょうし、アレルギー性鼻炎の可能性もあります。
寒暖差が大きいだけでも鼻水がでることもあります。
じゃあ鼻水の対応は?
原因によって違ってくるので、一概には言えませんが基本的に鼻水が少し出ているくらいなら様子を見て良いというのが私の考え。
ただ、鼻水が増えすぎると...
『鼻がつまってよく眠れない』『ミルクや授乳が飲みにくい』『咳もでてきた』
などという症状がでてくることがあります。
特に小さいお子さんは自分で鼻を出すことも難しいので、症状が強くなりがちです。
ひとつ言えるのは、こういった症状がある時、鼻を吸ってあげるのは間違いなく良いことです。
鼻の手前の方に粘っこい鼻水がつまって、それを取るだけでも楽になることは結構あります。
もうひとつ。
『青洟(アオバナ)』が出るというのも病院を受診される理由としてとても多いです。
黄色かったり、緑色だったりするドロドロの鼻水ですね。
こういった鼻水は主に白血球がウィルスや細菌と戦った残骸のようなものです。
つまり青洟はウィルスによる風邪の時にでも出ます。
『青洟は風邪の治りかけ』的なことを言われることもあります。
ただし、風邪から副鼻腔炎まで起こして青洟が出てることもあり...
しかし、『青洟=副鼻腔炎』ではありません。
なので、青洟があればすぐ抗生剤というのは良くない。
副鼻腔炎でも軽いものなら自然と治ることだってよくあるわけで。
もちろん副鼻腔炎の時にも青洟はでますが、逆に出にくくなっていることもありますのでその辺りはなかなか難しい。
後鼻漏といって鼻水がのどに流れ込んで咳がでてるけど、前の方から鼻を見てもあまり悪くないってこともよくあります。
なんだか結論があるようなないような文章になってる気もしますが...(^^;)
じゃあ鼻水はどこまで病院に行かず、家で様子をみても良いのか?
なかなか難しい問題です。
上に書いたように『咳が多い』『鼻づまりで苦しそう』『授乳やミルクが上手く飲めない』などの症状があれば受診をお勧めします。
青洟も少量なら良いですが、ズルズルと大量にでている場合は受診された方が良いかと思います。
結論をまとめようとしましたが、年齢やアレルギー性鼻炎があったりなかったりでも変わってくるので、なかなか簡単には書けませんでしたm(__)m
前回からの流れでアレルギーのお話です。
『経皮感作』という言葉、私も少し前から色んな文献などで目にすることが多くなりました。
読んで字のごとく『皮膚を経て感作する』という意味ですが、まず『感作』とは?
簡単に言うと、様々な食物やハウスダストなどに対して免疫が働きアレルギーを起こすようになってしまうことです。
つまり『経皮感作』とは『皮膚を経てアレルギーになる』ということです。
なぜこんなことがわかってきたのか?
もともと食物アレルギーは腸管からの感作で発症すると考えられていました。
しかし、小麦成分が入った石鹸を使用した方々が小麦アレルギーを発症し大きな問題になりました。
他にもピーナッツオイルを含んだ製品をスキンケアの為に使用していた方々がピーナッツアレルギーを発症したという報告もあります。
こういった流れから『皮膚を経たアレルギー』というものに対する研究が進んできたようです。
皮膚が正常であれば角質に守られアレルギーの原因となるような物質が入り込む隙間はありません。
しかし、皮膚に傷があったり、湿疹があったりすると異物が入り込んでしまいアレルギーが成立する原因となってしまうようです。
特に乳児期にアトピー性皮膚炎があると、食物アレルギー、さらにアレルギー性鼻炎、気管支喘息というアレルギー関連の病気を次々と合併してしまうことがありこれを『アレルギーマーチ』と呼びます。
アトピーがあっても次のアレルギーを起こさないように、皮膚を良い状態に保つことが重要そうですね。
もちろん、アレルギー全てが皮膚を介して起こっているわけではないはずですし、環境や遺伝的要因もあると思います。
しかし、スキンケアがアレルギーの予防手段として重要であると考えて良さそうです。
スキンケアの具体的な方法などは皮膚科や小児科のアレルギーに詳しい医師の方々にお任せします(^-^;
ただ、こういうアレルギー等に詳しい医師の話を聞くと、まずは『保湿』というキーワードがだいたい出てきます。
保湿剤だけでもアトピー性皮膚炎の発症を予防できるという報告もあります。
やっぱりアレルギーは『鼻だけ』『皮膚だけ』ではなく、全身のことをしっかり考えて上手くケアしなきゃいかんですね(^^)/
前々回もインフルエンザ治療薬についてのお話でしたが、今回も。
『イナビル吸入懸濁用160mgセット』というのが発売されました。
もともとイナビル(ラニナミビル)は1回吸入するだけで治療が完了するインフルエンザのお薬です。
こんなのです。
10歳以上はこれを2本、10歳未満は1本吸入すれば治療完了!
個人的には結構好きなお薬ですが、問題点がひとつ。
しっかりと吸入しないといけないということ。
しかもチャンスは1回です。
小さなお子さんや、ご高齢の方などはしっかり吸入できるか確認できるキットがありますので、それを使って確認してから処方するようにしています。
特に小さなお子さんは苦いタミフルを5日間飲むかどうか、1回の吸入で終わるかになりますので結構大事(^-^;
(もちろん、症状が軽ければ何もお薬を使用しないという選択もします)
で、今回新発売になったイナビル。
この吸入の問題を解決しようと作られたものだと思います。
こんな感じ。
直接飲むわけではないです(^-^;
これまでのイナビルと同様、吸入するのですが、その吸入方法が違います。
耳鼻科でネブライザーといって霧状のお薬をのどや鼻に吸わされた経験のある方は多いと思います。
そんな感じです。
こんなマスクがセットになっていて、お薬を霧状に噴射する機械に接続して吸入します。
つまり自分で頑張って吸い込む必要がないということです。
このお薬で気になることは、吸入の時間が10分ほどかかるらしいということ。
高熱があってきつがっているお子さんが10分間もじっと吸入できるか?ということですね。
あと、使用する機械は『ジェット式』というネブライザーが推奨されています。
耳鼻科では何人も並んでネブライザーするような場所が多いと思いますが、インフルエンザの方と他の患者さんに並んでネブライザーしていただくわけにはいかないです(^-^;
実際にどういった使用感なのかもまだ不明の部分もあります。
吸入が嫌で暴れちゃったら意味ないですしね(^^;)
というわけで、当院では新しいジェット式ネブライザーをこの薬用に導入するかも含めてまだ検討中です。
Posted:2019.10.21 | Category: 医療系のお話
最近患者さんとの会話で聞いたコトを3つ挙げてみます。
どれもなかなかのインパクトでした。
(全て伝聞なので、正確ではない可能性もありますm(__)m)
・『軽い溶連菌と言われました』
軽い(^-^;?
症状が軽いのか、所見が軽いのかよくわからん。
そしてお薬手帳には『ワイドシリン3日分』。
軽いから処方も短めということでしょうか...?
実際にちゃんと溶連菌の検査を行ったかどうかも定かではないですが(^-^;
・『小学校でRSウィルスが流行ってます』
これもなかなかのインパクト。
RSウィルスについて、詳しくは⇓のブログをどうぞ。
(⇒2017年10月10日のブログ『RSウィルス』)
RSウィルスの検査は基本的に1歳未満のお子さんが保険適応です。
重症の場合や、基礎疾患がある場合はその限りではないのですが、
流石に小学生に検査することはないと思う...
一体どこで診断されたのでしょうか(・_・;)
・『耳鼻科だから咳は診ないと言われました』
いやいやいやいや。耳鼻科って咳症状の患者さんめっちゃ多いですよ。
鼻やのどは咳の原因として多いですし、小さなお子さんで鼻水、咳はセットのようなものですしね。
アレルギーも関係するので、喘息もちの方も多いです。
その耳鼻科、耳だけに特化してるとかかな?
でもそこまではっきり言うなんて、逆に凄い(^^;)
最初にも書きましたが、伝え聞いただけなので、正確ではない可能性があります(^-^;
でも本当だったら...う~ん。
既に流行の兆しが見えだした今年のインフルエンザ。
インフルエンザの治療に関してはこれまでも何度も書いていますが、ゾフルーザ(バロキサビル)というお薬があります。
去年『1回内服だけでOK』という触れ込みで爆発的に広がり、去年インフルエンザ治療薬で最も使用されました。
私自身も他の治療薬と比べてメリットがあり、希望も含めて相談して処方しておりました。
インフルエンザとゾフルーザの色々については過去のブログを読んでいただければ
⇒2019年1月8日のブログ『ゾフルーザどうでしょう』
⇒2019年1月31日のブログ『インフルエンザ報道あれこれ』
ゾフルーザは特に、体重10~20kgのお子さんで錠剤が飲める子には苦いタミフルを5日も飲まずに済んで良いお薬だと思っていたのですが...
予想以上に耐性ウィルスの問題が大きいようです。
特に12歳未満のお子さんで耐性ウィルスが検出されており、日本感染症学会が『慎重に投与を検討する』という提言を出しました。
以前も書きましたが、ゾフルーザの耐性ウィルスについては発売前から懸念がありました。
それも含めてメリットデメリットを比べて使用してきましたが、どうやら予想以上のようで。
ゾフルーザは予防投与についての申請も進めているようですが、いずれにせよ使用は慎重にしていくべきだと考えています。
(予防投与自体がかなり限定的な使い方ですが)
まぁ正直去年は急激に使われ過ぎましたよね~(^-^;
Posted:2019.09.17 | Category: 医療系のお話
昨日、とある熊本の耳鼻科の医師と話をする機会があったのですが、すでにインフルエンザが流行ってきている地域があるようです。
熊本市HPより
まだ市内ではインフルエンザの報告はないようですが...
県内の情報では10数人報告があるようです。
ニュースでも言われていますが、今年はインフルエンザ流行が早いようです。
逆に夏風邪(ヘルパンギーナ、手足口病、プール熱)は最近かなり少なくなりました。
そのかわり、今月になってよく聞くことが多いのがRSウィルス感染。
基本的には1歳未満のお子さんで問題になることが多い病気ですね。
RSウィルスに関しては以前に書いたので、ご参照ください。
(⇒2017年10月10日のブログ『RSウィルス』)
そしてじわじわ増えてきたのが、アレルギー。
ハウスダスト、ダニアレルギーが秋ごろから悪化することが多いのはこのブログでもよく書いてますが、そろそろその時期のようです。
また、ブタクサ花粉症も徐々に症状がでている方もいそうです。
やはり症状が軽いうちから治療を開始した方が治療の効果も早いですので、早めの受診をお勧めします(^^)
前回ショック(特にアナフィラキシー)について書きました。
最後に『エピペン』という医薬品のことについて少し書きましたので、その続きです(^^)
前回書いたようにアナフィラキシーショックの治療にはアドレナリン(エピネフリン)を使用します。
しかし、アナフィラキシーショックは本当にあっという間に進行しますので、救急車を呼んで病院に搬送されてるまでの間に手遅れになってしまう可能性もあるわけです。
そこで、アナフィラキシーショックを繰り返したり、リスクの高い方に処方するのが『エピペン』です。
(アレルギーがあるからと誰にでも処方するものではありません)
(これは練習用の見本です)
簡単に言うとアドレナリンを自分で注射するためのものです。
こんな感じで
青色の安全キャップを外して、太ももの前外側にガチっと打つだけです。
エピペンは一回使用すると、もう針が出ないような仕組みになっているので、追加投与はできません。
あくまでも『症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤』という位置づけです。
なので、打ったら安心というわけではありません。
エピペンで時間稼ぎして、その間にしっかりとした治療を受けるためのものです。
話は変わりますが、自分で針を刺すっているのはなかなか勇気のいる行為ですよね。
実際にエピペンを使用するようなときは、痛みはあまり気にならないのかもしれませんが...どのくらい痛いんでしょう(^^;)
1回に出る薬液の量は0.3mlですのでそんなに太い針じゃないはず...と思って調べてみたら針の太さは『22G(ゲージ)』らしいです。
ちなみに成人用の0.3mgの場合、針は15mmあるらしい。
(0.15mgだと1.3cm)
意外と太いですね。
真ん中の黒いのが22Gです。
普通に採血とかでも使う太さですね。
エピペンを使用するような緊急事態ではズボンを脱がす時間もありませんので、そのまま打ちます。
なのである程度針も頑丈な必要があるのでしょう。
勤務医時代は22Gを『黒針(くろばり)』と呼んでました。ちなみに18Gは『ピンク針(ぴんくしん)』。
いまでもそんな呼び方するのかな?
話がずれてきてしまいましたが、エピペンはweb上で講習を受けて登録した医師しか処方できません。
私もだいぶ前に登録しましたが、あまり処方することは多くありません。
エピペンには使用期限もあり、切れると新しく処方が必要になりますので、どうぞご相談ください。
熊本市の耳鼻咽喉科 たかむら耳鼻咽喉科
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