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前回ちょっと早めの花粉症の話を書きましたが、やはり一時的なもので現在は落ち着いているようです(^^)
で、今回も引き続き花粉症関連のお話です。
昨年の末にゾレア(オマリズマブ)というお薬が季節性アレルギー性鼻炎に対しての適応追加承認されました。
このお薬、もともとは気管支喘息、慢性蕁麻疹の治療剤として使用されていました。
それが季節性アレルギー性鼻炎、つまり花粉症に使用できるようになったわけです。
『ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体』というもので、生物学的製剤の一種になります。
生物学的製剤とは、化学的に合成された化合物ではなく、生体がつくる物質を薬剤として利用するもので、例えばワクチンや血液製剤なども含まれます。
このお薬がどういった原理でアレルギーに効くかという話ですが...
IgEというのは免疫グロブリンと呼ばれる抗体の一種なのですが、アレルギーのある物質(アレルゲン)が体内に入ってくると反応しアレルギー症状を起こします。
このIgEを攻撃するように作られたお薬がこのゾレアです。
最も一般的なアレルギーのお薬である抗ヒスタミン薬はアレルギーが起こって放出されたヒスタミンという物質を抑えることで症状を改善するのですが、このゾレアはアレルギーそのものを抑え込むようなイメージですね。
薬の原理から考えると間違いなくしっかり効くはずです。
ここまで書くといいことばっかりのお薬ですが、いいことばかりの薬なんてあるはずもなく...
ここからが大事です。
このお薬花粉症なら誰でも使えるわけではありません。
ゾレアの添付文書の季節性アレルギー性鼻炎の箇所のみ貼り付けてます。
要するに...
・血液検査で花粉症が確定していること
・血液中のIgEの数値が一定以上であること
・花粉を浴びないようにして点鼻薬や内服薬などを使用しても症状が強いこと
が必要です。
つまり『普通に治療して効果があるなら使用しない』ということです。
そしてもう一つ問題点を挙げると、価格です。
生物学的製剤は普通のお薬に比べると高価です。
体重とIgEの数値で投与量、投与回数(2週間もしくは4週間に1回)が決まるのですが、最高容量の600mgを2週間に1回投与で考えると...
1か月で約36万円、3か月投与すると100万円を超えます(・_・;)
3割負担でも1シーズン30万円以上になりますね。
(あくまでも最大容量の場合ですけど)
いままで使用されていた気管支喘息と慢性蕁麻疹と比べると花粉症の場合は患者さんの数も圧倒的に多いはずですし、どんどん増え続ける日本の医療費のことも考えなくてはなりません。
ただ、値段は今後改訂されていくだろうと思います。
というわけで...
花粉症で苦しんでいる方は多いと思いますが、普通の治療をしっかりすれば症状が全然コントロールできないようなことはほぼありませんし、この薬を使うことは現時点ではないかな~と。
他の疾患で使用されているので安全性も問題ないとは思いますが、ちょっと様子見ですね(^^;)
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