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日本耳鼻咽喉科学会の初の全国調査によって2015、2016年の2年間で"おたふくかぜ"の合併症で難聴になった人が少なくとも336人いることがわかったと発表されました。
"おたふくかぜ"と言えば典型的には"耳下腺"といって耳の前~下にある組織が腫れあがる病気です。
痛みや発熱が主な症状ですが、合併症として難聴の他、髄膜炎を起こすこともあります。
この難聴は"ムンプス難聴"とも言いますが、残念なことにほとんど治りません。しかも重度の難聴の割合が多く、その後の生活に大きな影響を及ぼします。
両側の重度難聴を起こすこともあり、その場合は有効な治療は人工内耳の埋め込みくらいしかありません。
おたふくかぜはムンプスウィルスという"ウィルス"が原因ですので、抗生剤を使っても意味がありませんし、自然に治るのを待つしかありません。
しかし、その予防法として"ワクチン"の接種があります。
現在日本ではおたふくかぜワクチンは任意接種となっています。つまり『受けたいならどうぞ』っていう感じ。
アメリカやヨーロッパを含め、日本以外の先進諸国ではほとんど定期接種です。もちろん患者数は日本と比べてめちゃ少ないと報告されています。
日本も以前はMMRワクチンといって麻疹、水痘、おたふくかぜのワクチンが定期接種で行われていました。しかし、髄膜炎の副作用を起こす頻度が高いということで任意接種になったわけですが、その結果30~40%しか予防接種を受けていません。
今回の報告では2年間で336人となっていますが、実際にはもっと多いと思われます。
小さな子どもの難聴は気付かれずに放置されることもあり、最終的に原因不明となることもあるし、もともと届け出が必要な病気でもありませんので。
日本では流行する年には100万人以上、少ない年でも40万人程度はおたふくかぜにかかっています。
難聴を起こす頻度については色々報告がありますが、概ね0.01%~0.1%という感じ。
年間100万人のおたふくかぜ患者さんがいれば、100人~1000人が重い難聴の合併症を起こすことになります。幅が広すぎてピンときませんが(^-^;
兎に角、日本耳鼻咽喉科学会の発表も結論としては
『先進国で定期接種でないのは日本だけだ、急に何も聞こえなくなって一生後遺症に苦しむ現実がある』
としてワクチン接種を勧めています。
一番はまたワクチンが定期接種になることが望ましいと思いますけどね(^^)
熊本市の耳鼻咽喉科 たかむら耳鼻咽喉科
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