たかむら耳鼻咽喉科

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Posted:2017.03.10 | Category: お薬の話 医療系のお話 鼻

花粉症最盛期を迎えておりますが、やはり今年は花粉が多いせいで症状も強いです!

毎年は市販のお薬で対応していた方も『今年は効かない!』と受診されるケースが増えております。

というわけで、私も最近まで使っていたステロイドと花粉症とからめたお話です。


ステロイドは耳鼻科の関係で言うと...

『耳が聞こえなくなった(突発性難聴など)』⇒ステロイド

『においがしない(嗅覚障害)』⇒ステロイド

『口内炎がひどい、繰り返す(難治性口腔咽頭潰瘍)』⇒ステロイド

『顔が動かしにくくなった(顔面神経麻痺)』⇒ステロイド

などなど、使うことは結構あります。


『ステロイド』というのは、副腎皮質ホルモンと呼ばれるものの1つです。
体の中の炎症を抑えたり免疫力を抑制したりする作用があります。

アレルギーを抑える作用も非常に強力です。


もちろん耳鼻科以外にもたくさん使われている非常に有用なお薬ですが、副作用もたくさんあります。

代表的なものとしては

・易感染性(免疫力を抑えるので、感染症にかかりやすくなる)
・糖尿病の悪化
・高血圧
・消化性潰瘍
など

そして長期的に使用すると

・骨粗鬆症
・白内障
・中心性肥満、満月様顔貌(ムーンフェイス)
・副腎不全

といった重篤な副作用が問題になってきます。


膠原病などの内科的疾患で使用するときはかなり長期間使用し続けることが多いですが、耳鼻科で使用するときは長くても1か月以内で終わることがほとんどなので、副作用が大きな問題になることは多くありません。
しかし長期間使用する場合はこまめに副作用のチェックが必要です。


ただ、例外として『セレスタミン』というお薬が耳鼻科でよく使われます。
このお薬は抗ヒスタミン薬(ポララミン)とステロイドの合剤です。

よってアレルギーに非常に良く効きます。ポララミンという古い抗ヒスタミン薬のせいで眠気も強いですが(^-^;


調べてみると、1966年発売。すでに50年以上使われ続けているお薬なので、効果は間違いないということですね。
ただ、少量ではありますが、ステロイドが入ったお薬ですので、長期間の使用は避けるべきです。

つまりセレスタミンは花粉症、アレルギー性鼻炎の治療においてはメインのお薬にはなりません


ついでに言うとポララミンというお薬も第一世代と言われる抗ヒスタミン薬で、眠気の誘発や認知学習能力、集中力の低下に影響する薬剤です。
抗コリン作用と呼ばれる副作用(口が乾く、頻脈、尿閉)もありますので、アレルギー性鼻炎に対しては日本だけでなく、欧米のガイドラインでも『避けるべき薬剤』とされています。



他県から熊本に移ってきた耳鼻科医が『熊本に来て一番驚いたのは、セレスタミンを使いすぎていること』と言っていました。

ステロイドを過度に怖がる必要はありません。
特に点鼻薬や喘息で使う吸入薬にもほとんどステロイドが入っていますが、全身的な副作用の心配はいりません。
(ただし、点鼻薬にも長期的に使ってはいけないものがありますので、それは次回にでも)


ただ、アレルギー性鼻炎・花粉症でセレスタミンを何か月も使うようなことは明らかに良くありませんので、気を付けましょう。

いまは他にもたくさんいいお薬がありますからね~(^^)/

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