たかむら耳鼻咽喉科

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三学期も始まり、寒い日が続いています。天気予報では土曜日に雪マークが!!
体調にも転倒にもお気を付けください(+_+)



さて、題名の通り、抗生剤についてです。
久しぶりに真面目で長い文章になりますが、非常に大事なことなので、頑張って書いてみます。

抗生物質、抗生剤(抗菌薬)というのは細菌を殺したり、増えないようにするお薬です。
つまり、細菌の感染症に使うわけです。

なので、細菌感染以外には抗生剤は意味がありません

例えば、一般的に言われる『風邪』の原因の8割以上はウィルス感染です。
なので抗生剤が必要なことはあまりありません。
でも細菌感染かどうか判断に困ったり、二次的に細菌感染を起こすことが心配で抗生剤が使われていることが多いようです。



・抗生剤の種類
ペニシリン系
セフェム系
マクロライド系
ニューキノロン系
カルバペネム系
マクロライド系
などなど様々な種類があります。

DSC_1157.JPG


例えば、小児の急性中耳炎を例にします。


日本耳科学会などが作成した『小児急性中耳炎診療ガイドライン』というものがあります。基本的な治療方針はどの医院でもこのガイドラインに従っている『はず』です。
検索すれば誰でも見ることができますので、興味のある方は是非ご覧ください。


そのなかでは急性中耳炎に対する抗生剤で一番に選択するべき薬は『アモキキシシリン』というペニシリン系の抗生剤となっています。
『ワイドシリン』『パセトシン』『サワシリン』などの商品名で販売されています。



ペニシリン系はもともと体重当たりの使用量が多く、小児でも体重が増えてくると粉薬の量が多くなり飲みにくいということがありますが、『ワイドシリン』は他の薬の1/2の量で良いので、使いやすいお薬です。味も結構美味しく、私は薄いラムネ味のように感じました。
widecillin.jpg
『ワイドシリン』はこんな感じのピンク色のお薬です。

私は研修医時代に感染症に非常に詳しい先生から『抗生剤を上手に使えるかどうかはペニシリンの重要性を勉強しているかどうか』という指導を受けたことがあります。
ペニシリンは100年近く前に発見された世界初の抗生剤ですが、現在でも使用方法をしっかりと考えれば非常に効果的なお薬です。
実際、様々な感染症でペニシリンは第一に選択すべき抗生剤とされています。



2番目に選択するお薬は
『アモキシシリン・クラブラン酸』『セフジトレンピボキシル』というお薬です。
『アモキキシシリン・クラブラン酸』とは、先述したペニシリン系の『アモキキシシリン』に耐性菌にも効くような物質を加えたお薬です。
『クラバモックス』という商品名になります。



 『セフジトレンピボキシル』は『メイアクト』という商品名のセフェム系抗生剤になります。
セフェム系の抗生剤は副作用も少なく、特に中耳炎の原因で多い肺炎球菌という菌に非常に良く効きます。
ただし、『ワイドシリン』もそうですが、『メイアクト』は1日3回内服が必要なお薬なので、保育園などに通っていてお昼のお薬が飲ませられない方には使いにくくなります。


kurabamo.jpg
ちなみに『クラバモックス』はこんな感じの包装で、中身は白い粉薬です。
味はイチゴ味っぽく、後味がわずかに苦いです。


メイアクト外見.jpg
『メイアクト』はオレンジっぽい色で、味はバナナ味でちょっと後味が続く感じがあります。
(味については完全に私の個人的な感想です(^-^;)

 


これらのお薬が効かない、もしくは重症の場合は『カルバペネム系』、『ニューキノロン系』の出番となります。
カルバペネム系は商品名『オラペネム』一般名テビペネムピボキシルです。
ニューキノロン系は商品名『オゼックス』一般名トスフロキサシンです。

この2つのお薬は確かに良く効きます。効果も早いです。


両方とも味も美味しく、においも良いです。

orape.jpg
『オラペネム』は後味が若干苦いですが、


ozekkusu.jpg
『オゼックス』は後味もすっきりです。

(繰り返しますが、味は完全に私の感想です(*_*;;)
 


では『オラペネム』『オゼックス』を最初からどんどん使えばいいじゃないかという話になるのですが、ここででてくるのが、『耐性菌』というものです。

また後々詳しく書こうと思いますが、抗生剤を使いすぎると抗生剤に抵抗する菌が生まれてきます。実際に昔使っていた特にセフェム系の抗生剤で最近の中耳炎にはほとんど効かないというお薬も結構あります。


 

つまり、『オラペネム』、『オゼックス』に対する耐性菌が生まれてきて、効かなくなってしまうと次に使うお薬がなくなってしまうのです。


なので、これらの薬はなるべく使いません。中耳炎で使うときには鼓膜切開が必要な状態のことが多いです。
製薬会社もオラペネムでは『第一選択薬ではなく、重症感染症に限定して使用』という位置づけをしています。


こういったお薬が漫然と使われていないか、一度お薬手帳を見直してもいいかもしれません。

強いお薬を使えば効き目は早いし、すぐ楽になりますが、その後のことを考えてお薬は使わなくてはなりません。
特に、これから先が長いお子さんなら尚更です。

(これは本来、我々医療従事者が気を付けなくてはならないのですが、、、)



最近抗生剤の使われ方について色々考えることがあって書き始めましたが、やっぱり1回では書ききれない、、、というわけで何回かに分けて書いていきます。

これからも副鼻腔炎に使用する抗生剤や、細菌の種類や、耐性菌については書いてみようかと思います。

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